富士通は4月18日、今年4月1日にインドに設立した新たな研究拠点「Fujitsu Research of India Private Limited」において、インド工科大学ハイデラバード校やインド理科大学院と、AI分野の最先端技術に関する共同研究を開始することを発表した。

「Fujitsu Research of India Private Limited」は、AIやコンピューティングをはじめとする注力技術領域の研究開発において不可欠なソフトウェア技術の強化に向けて、4月1日にインドに新たな研究拠点として設立されたもの。

同拠点では、AIと量子ソフトウェアを中心に開発を行うが、今後はセキュリティなどにも研究分野を広げ、日本や欧米の自社の研究拠点と連携しながら、グローバルに広く流通するソフトウェアの創出を目指すという。

今回、発表されたインド工科大学ハイデラバード校との共同研究では、 因果関係をより高精度に推定するAI技術の研究に取り組む予定。

この技術は、富士通が開発した現場のデータから新たな発見の手掛かりを提示する技術「発見するAI」に用いられる大量データから因果関係を高速に抽出する技術に、インド工科大学ハイデラバード校が得意とする幾何学的統計理論に関する知見を組み合わせることで、これまで扱えなかった複雑な因果関係を抽出することを可能にし、さまざまな事象における因果関係を高精度に推定できるようにするもの。

これにより、創薬や新材料開発をはじめとする幅広い分野に貢献することを目指す。

また、インド理科大学院との共同研究では、さまざまな変化に応じて自律的に学習するAI技術の研究を実施する。

富士通が持つ強化学習などの適応型機械学習に関する知見と、インド理科大学院の先進的な深層学習の研究によって蓄積された世界トップレベルの知見や技術を融合して、専門家の試行錯誤なしに高精度な推論が可能な深層学習モデルの自動生成手法を研究開発するという。

これによりAIの自律的な進化を実現し、大規模システムの自動運用やビジネスKPI(重要業績評価指標)を最大化する経営の意思決定支援のように、常に環境変化への対応が求められる領域でも適用可能なAIの実現を目指す。