テラスカイは4月15日、オンラインによる2022年2月期(2021年3月1日~2022年2月28日)の通期決算説明会を開催した。説明会には、同社代表取締役社長の佐藤秀哉氏が出席し、2023年度の事業戦略も発表した。
2022年2月期は増収増益も、初期導入の開発売上減少で製品事業は赤字に
同社の2022年2月期の売上高は前期比12.9%増の125億7800万円、営業利益は同15.5%減の6億5800万円、経常利益は同15.2%減の6億6100万円となった。
セグメント別では、売上高がソリューション事業で前期比16.5%増の111億5900万円、製品事業で同0.7%増の15億8000万円、営業利益がソリューション事業で同11.4%増の17億200万円、製品事業は前期比で1億6100万円の利益減少で、1億300万円の赤字となった。
売上の増減要因としては、クラウドマイグレーションビジネスの拡大により、AWSビジネスの売上比率が上昇したことや、連結子会社の業績が堅調に拡大し増収を継続したこと、2021年2月期に製品売上の過半を占めていた初期導入開発売上が、2022年2月では減少したことが挙げられた。
佐藤氏は、「Salesforceの市場拡大により製品のサブスクリプション売上は増加したものの、導入にあたって一時的にかかる初期導入開発売上が減ったことで成長は限られたものになった。また、製品ついては引き続き投資を行っており、利益の押し下げに影響を与えているものの、あくまで将来の利益を確保するための投資となる」と説明した。
3つの領域で投資拡大、2024年以降には利益創出の見通し
今後の事業戦略については、2023年度を含めた3カ年の中期経営計画が発表された。2023年2月期については売上高は158億5800万円、経常利益は500万円、営業利益は400万円と予想する。同期は積極投資による赤字と法人税などの合算で当期純損失を予定しているものの、2024年以降には利益創出を見越している。
佐藤氏は、「利益は一時的に下がるものの、V字回復させる計画だ。未来の成長市場での事業基盤確保に向けて投資を続け、中期的に収益化できる基盤を確保することで、2030年に売上規模700億円超を目指したい」と語った。
3カ年での投資は、「広告宣伝費の投下による認知向上」「設立した子会社事業の本格展開」「製品開発投資の継続」の3つの領域で展開する方針だ。
テラスカイでは、自社グループおよび製品の一般認知度が低いことが人材採用面、製品拡販面での課題の1つと捉えており、2023年3月期はテレビCM、WebCMに数億円の予算を投下する予定だ。これにより、エンジニア採用の増加とSalesforce上にグループウェア機能を実装できる同社製品「mitoco」の販売拡大を目指す。
現状、テラスカイはSalesforce、Sales Cloud、Service Cloudなどのクラウドインテグレーションをコア事業に据え、マーケティングオートメーション、 人材派遣、AI(人工知能)分析、データ連携、MSP(マネージドサービスプロバイダ)といったコア周辺事業を展開している。
そのうち、技術人材派遣の「テラスカイ・テクノロジーズ」と量子コンピューティングを活用したサービスを提供する「Quemix」のほか、2019年に設立した「TerraSky Thailand 」について、3年以内に単年度黒字化を達成する計画を立てる。
TerraSky Thailandは設立間もなく新型コロナウイルスの感染が拡大したため現地への訪問ができず、事業が遅延していたが、その間国内でタイ人エンジニアを育成するなどの進出準備を進めていたという。2022年6月を目途に現地法人の操業を再開し、現地でのエンジニア採用と教育を開始する予定だ。
SalesforceとSlackのコラボレーション機能を5月にリリース予定
製品開発にあたっては、mitokoの機能拡張を念頭に、グループウェア関連の製品・機能開発を進める。また、SalesforceとSlackのコラボレーションが可能となる機能を提供していく方針も示された。
2021年5月には、Salesforceの画面のカスタマイズが行える「SkyVisualEditor」で、セールスフォース画面上にSlackのコンポーネントを開ける機能をリリースする。
「独立したコミュニケーションツールであるSlackを、Salesforceと融合した形で業務を進められる点が特徴だ。Salesforceの企業ページを開くと、その企業に関連したチャットが開かれ、顧客情報にひもづいてクライアントとのコミュニケーションを見える化できるような機能となる」と佐藤氏は明かした。