半導体自動設計支援ソフトウェア大手のSynopsysが、米国政府がエンティティリストに記載し、制裁の対象として米国製の技術など輸出を規制している中国企業に対し、重要な技術を供与した疑いで米商務省の調査を受けている模様であると米経済メディアBloombergが報じている。
米当局はSynopsysが中国の関連会社と協力して、中国最大のファウンドリであるSMIC(中芯国際集成電路)と、SMICに製造委託しているHuaweiの子会社で中国最大のファブレスIC企業であるHiSiliconに、半導体設計ツールとソフトウェアを提供した疑惑を調べているという。
米国政府は、国家安全保障を脅かすとして、Huaweiについては2019年5月に、SMICは2020年12月に、それぞれ米商務省のエンティティリストに掲載し、米国半導体技術の両社への輸出を厳しく規制している。
こうした動きを受けてSynopsysは、2019年5月に、それまで親密な取引関係にあったHiSiliconとの取引を中止すると発表していた。しかし、その後も、SynopsysはじめEDA大手3社の中国市場での売り上げはきわめて好調で、中国でいったい誰が新たに半導体設計ツールを購入しているのかは謎のままで、どこかにHuaweiやSMICへの抜け穴があるのではないかと噂されていたこともあり、米商務省が内偵を進めていたという。
現在、米国のデバイスメーカーにとっても製造装置メーカーにとっても中国は世界最大の市場であり、米商務省のさまざまな規制をかわして中国への販売に注力している模様である。