大日本印刷(DNP)は4月14日、5G(第5世代移動通信システム)のSub6周波数帯に対応し、直径15cmの細い円柱にも巻き付けられるフィルム型アンテナの開発を発表した。

  • DNPが開発した円柱物に巻き付けられるフィルム型アンテナ

同アンテナでは形状や給電線の設計を工夫することで、5G-Sub6帯で各通信キャリアに割り当てられている100MHz以上の帯域幅に対応しながら、可撓性(かとうせい:しなやかにたわむ機能)を持たせている。

また、電子線(EB:Electron Beam)を照射してフィルムにコーティングした機能性樹脂などを硬化させるDNP独自のEBコーティング技術を活用することで耐候性(気候変化への耐性)を高め、設置場所の環境を考慮した意匠デザインも施すことができる。そのため、木目調などの意匠を付与しつつ、景観を損ねることなくアンテナを設置したり、街灯・信号機・電柱などの屋外に設置したりすることも可能だ。

  • フィルム型アンテナを取り付けた壁紙(左)、拡大図(右)

2022年3月には、電気通信事業者であるオプテージの「OPTAGE 5G LAB」においてローカル5G設備で共同実証実験を行い、意匠付きフィルム型アンテナの5G-Sub6帯での通信に成功している。

同フィルム型アンテナの2023年度の量産化に向けて、同社は各種通信関連会社と共同で機能検証を進め、2025年に売上10億円を目指すという。