人類の暮らしを支え、歴史とともに活用の幅が広がってきたガラス。その魅力を多くの人に知ってもらおうと、文部科学省が学習資料のポスター「ガラス 人類と歩んできた万能材料」を作成した。今年が国連「国際ガラス年」であることから、今月18~24日の科学技術週間を前に公開したもの。国民が科学技術に触れる機会を、と公開を続ける「一家に1枚」シリーズの18枚目となった。

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    「一家に1枚」シリーズ「ガラス 人類と歩んできた万能材料」(文部科学省提供)

ポスターはガラスが、高温でドロドロの岩石や砂が冷え固まったものであることを平易に説明。その上で、人類が天然のガラスと出合った1万年前の石器時代に始まり、文明の進展とともに文化や芸術、生活や医療、科学技術を支え続けてきた実例を、豊富な写真とともに物語っている。「電子の発見」「重力波を検出」など、ガラスが支える技術がノーベル賞に結び付いた事柄にはノーベル賞のメダルをあしらった。国連のSDGs(持続可能な開発目標)の目標のアイコンを織り込むことで、原料の入手や成形が容易で耐久性にも優れたガラスが、豊かな世界の構築に役立つことにも触れている。

「一家に1枚」は2005年の「元素周期表」を皮切りに文部科学省が毎年、作成しているもの。シリーズ化して「ヒトゲノムマップ」「光マップ」「たんぱく質」「日本列島7億年」など18枚が公開中だ。「大人から子どもまで部分的にでも興味を持たせるもの」「見た目がきれいで、部屋に張っておきたくなるもの」「基礎的、普遍的な科学知識を中心とするもの」「身近な物や事象との関連付けをして、親しみを持てるもの」を基本コンセプトとしている。

新元素「ニホニウム」の発見や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行など、公開後の状況変化に応じた改訂も行い、“出しっ放し”ではないのも特徴だ。元素周期表は実に13版を数える。

インターネットの文部科学省「科学技術週間」のページからPDFファイルをダウンロードして利用できるほか、同週間に合わせ、協力する全国約300の科学館や博物館、研究機関などが印刷版を配布する。「一家に1枚 ガラス」特設サイトも公開された。

科学技術週間は1960年に制定。今年も各地の施設が講演会や実験教室、企画展、見学会などを、オンラインを含め実施する。

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