日本マイクロソフトは4月13日、通信(携帯キャリア)およびメディア(放送)業界に対する取り組みについて、MWC2022で公開した最新情報を含めて説明した。
日本マイクロソフト 業務執行役員 エンタープライズ事業本部 通信メディア営業統括本部長 石本尚史氏は、通信業界の現状の課題として、人口減により大きく伸びていくことが予想しにくい点やNVMOなど競合の参入などによる既存ビジネスモデルの伸び悩み、低料金プランによるARPUの低下、5G/6Gに向けた投資があるとした。
同氏はこれらの課題に対して「スマートライフビジネスによるB2C ARPU向上」、「B2B領域のビジネス創出」、「さらなるオペレーションの効率化」、「高付加価値な事業へのリソース集中」といった対応が必要だとした。
これら対応に向けマイクロソフトでは、ビジネス創出に向けた各業界キープレイヤーとのエコシステムの構築、データ利活用のためのソリューションと実績、キャリアグレードのハイブリッド・ハイパースケールインフラを提供することで支援するという。
各業界キープレイヤーとのエコシステムの構築では、各業界でのリファレンスアーキテクチャの提供、業界トッププレイヤーとのビジネスと展開、スタートアップとの連携などで支援するという。
キープレイヤーとのエコシステムの構築では同日、ソフトバンクと5Gビジネス創出に向けたプロジェクトを立ち上げたことを発表した。
このプロジェクトにおいて日本マイクロソフトは、通信キャリアやローカル5G事業者等による5Gを活用した法人事業領域でのビジネス創出支援を強化し、取り組みの一つとして、ソフトバンクとの共催によるテクノロジーラーニング、アイディア創出およびハッカソンによるMVP (Minimum Viable Product) 作成の支援を含めた、5Gビジネス創出のためのプロジェクトを近日立ち上げ予定だという。
データ利活用のためのソリューションと実績では、OpenHack for Data、Azure Light-up for Data、Data Hack、Cloud Native Dojo for Dataなどのデータ分析・活用内製化支援プログラム、Azure Machine Learning、Azure Synapse、Azure SQL、Azure Cosmos DB、Microsoft Power BIなどのソリューションを提供できるとした。
また、同社は2020年の秋から通信キャリア向けプラットフォーム「Azure for Operators」を提供しているが、2月末からスペインのバルセロナで開催されたMWC 2022では、Azure Operator Distributed Servicess、Azure Operator 5G Core、Azure Private 5G Core、Azure Private MECという新たな4つのサービスを発表した。
Azure Operator Distributed Servicesは、AT&TのNetwork Cloudを知的財産やエンジニアも含めて買収したことにより提供するもので、5Gおよび音声通信に向けたキャリアグレードのハイブリッドクラウドプラットフォーム。現在は、Private Previewの状態。
Azure Operator 5G Coreは、5Gモバイルコアを構築するためのAzureソリューション。現在はPrivate Preview。
Azure Private 5G Coreは、進化版Microsoft Azureモバイル5Gコアサービスで、5GのコアCNFをサービスとしてエッジに展開する。現在はPublic Preview。
そして、Azure Private MECは、キャリアのデータセンター内でAzureサーバを展開させるもので、低遅延アプリケーションを通信キャリアのエッジで提供する。現在は、Private Previewの状態だ。
同社は、Azure for Operatorsを今後、日本のキャリアに向けて提供していく計画だ。
メディア業界向けの取組
一方のメディア業界の課題としては、インターネット広告にシフトすることによる広告収入の伸び悩み、YoutubeやNETFLIX等のサブスクリプション型の動画サービスの参入、ハイクオリティな映像のための放送の設備投資といった課題があり、これらの課題に対して、新たなチャネルの活用によるリーチ拡大、視聴者が求めるコンテンツ消費体験の把握、制作オペレーションの効率化、クリエイティブな業務への集中といった対応が必要だという。
日本マイクロソフト 通信メディア営業統括本部 インダストリーエグゼクティブ 大友 太一朗氏は、これに向けデータを分析してフィードバックしてデジタル化していくデジタルフィードバックループを回していく必要があるとした。
デジタルフィードバックループ実現に向けては、データを集めるための業務のデジタル化、集めたデータの統合・分析・可視化、分析結果のフィードバックという3つのステップで実施して必要があるという。
このステップに対してマイクロソフトでは、データの統合・分析・可視化のためのソリューション・テクノロジーの提供、業務のデジタル化のためのソリューション・テクノロジーの提供、業務のデジタル化データ利活用を推進するための体制構築・技術習得の支援を行っているという。
大友氏は、データを活用したDX実現のためのキーポイントは現場の課題解決手段として、データ活用を考えることだとした。