富士通は4月13日、アイスランドの企業Atmoniaと共に、HPC(High-Performance Computing:高性能計算)とAI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用してアンモニアをクリーンに合成するための触媒探索に関する共同研究を開始すると発表した。

燃焼しても二酸化炭素を排出しないカーボンフリー物質であり次世代エネルギーとして注目されるアンモニアは、水素に比べて輸送が容易なため、石炭火力発電所における燃料や水素エネルギーの原料として急激な需要拡大が見込まれている。

一方で、現在アンモニアの合成手法として主流であるハーバーボッシュ法では、メタンを主成分とする天然ガスや石油などの化石燃料から原料の水素を作るため、二酸化炭素が大量に排出される課題がある。

そこで両社は、富士通が持つ材料探索を効率化するHPC技術およびAI技術と、Atmoniaが有するアンモニア合成におけるシミュレーションデータを組み合わせることで、高速に量子化学シミュレーションを実行し、アンモニアの触媒材料の選定や表面構造の最適化などの探索時間を短縮する新材料探索技術の開発に取り組む。

両社は今後について、共同研究の成果をもとにしてクリーンなアンモニア合成手法の確立を目指すとともに、ゼロエミッションに向けた新材料探索のさらなる効率化と普及を進める予定としている。