イノベーションなくして企業が発展していくことは難しい。では、どうイノベーションを生み出していくのか? 沖電気工業(以下、OKI)ではイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際規格であるISO 56002に即して、OKIのイノベーション・マネジメントシステム「Yume Pro(ユメプロ)」を推進している。SDGsに掲げられている社会課題を解決するため、共創による新たなイノベーションを創出し、すでに商品化に至る事例も多数あり、順風満帆のように見えるが、取り組みが軌道に乗るまでにはさまざまな課題もあったという。
3月15日に開催された「TECH+フォーラム 製造業 DX Day 2022 Mar. 事業革新のプロセス」で、同社執行役員 イノベーション責任者 兼 技術責任者である藤原雄彦氏がこれまでの取り組みについて話した。
プロジェクトで課題が見えた、”Yume Pro”への道のり
登壇した藤原氏は、「SDGs、ESG経営といった概念が登場し、今や社会的貢献なしに利益はない時代。中長期的に戦略を考え、そこからバックキャストして社会課題を解決することにアプローチしなければ、企業として衰退していく」と力を込める。
そこでOKIでは、IMSの国際規格であるISO56002に則って新規事業の創出、既存事業の革新を進めることを決めた。時系列で言えば、当時代表取締役社長、現会長の鎌上信也氏がIMSの導入を指示したのが2017年。同年秋に藤原氏も参画したイノベーション推進プロジェクトチームが発足し、準備期間を経て、2018年4月に「Yume Pro」がスタートしたのである。
その後、2020年にはビジネス部門と研究開発センターが統合され、イノベーション推進センターが誕生した。
OKIでは、イノベーション推進プロジェクトを進めるにあたり、社内インタビューを実施したのだという。そこで出てきた課題を、ISO 56002のどの箇条に関連するかという観点で分類した。例えば、「顧客への提案能力が低い」「自前主義」といった課題は箇条8「活動」に関するもの、「新しいことをやってもやらなくても変わらない」という課題は箇条4「組織の状況」に関するものといった具合だ。その上で、各箇条ごとにYume Proで目指す姿を設定したのである。