TSMCが2022年下半期より予定している3nmプロセスでの量産に向けたサプライヤリストに、CMP用ダイヤモンドディスクを手掛ける中国砂輪(中砂)と、スパッタリング用金属ターゲットを手掛ける光洋応用材料科技(光洋科)といった台湾の材料メーカーが記載されていることを台湾メディアである経済日報(經濟日報)が報じている。
3nmプロセスの試作段階では、従来の先端プロセス同様、日本や米国の材料メーカーのものが使われていたが、価格競争力のある台湾製が製品の品質と優位性を認められ採用に至ったとしている。今回明らかになった2社ともに、海外の半導体企業への拡販も狙っているとも噂されているが、2社ともTSMCとの取引状況について明らかにしていないという。
中砂は、2000年からTSMCのサプライヤとなり、16nmプロセスまでは主要サプライヤであったものの、その後の先端プロセスでは米国メーカーが材料の大半を供給してきたという。こうした背景から、中砂ではTSMCで使われているのとまったく同じCMP装置や洗浄装置、検査装置を導入し、自社のダイヤモンドディスクの改良を続けることで、新技術の開発に成功、今回のTSMCへの納入を勝ち取ったという。
一方の光洋科も、TSMC南京工場の28nmプロセス向けにターゲット材を出荷してきた実績があるが、新たにTSMCと共同で6N(純度約99.9999%)の18インチ銅合金ターゲット材を共同開発、2021年末より先端プロセス向けに少量出荷を行ってきたという。台湾の半導体材料業界関係者によると、TSMCは現在、スパッタリング用ターゲット材は日本のJX金属や米国のHoneywellから大半を調達しているという。
半導体製造用材料は、製造装置とともに、日本や米国が圧倒的に強みを発揮してきた分野。しかし、この数年、経済安全保障の確保のために自国内でのサプライチェーン構築を目指し、台湾のみならず、韓国や中国でも材料の国産化に向けた取り組みが進められている。こうした背景の中でも、市場競争力を確保し続けるために日本勢は、油断することなく、差異化を図れる技術開発や新製品開発を進めていく必要があると思われる。