電気自動車(EV)や急速充電器市場などで採用が進むSiCやGaNといった、ワイドバンドギャップな第3世代パワー半導体の出荷額規模は、2021年の9億8000万ドルから、年平均成長率(CAGR)48%で成長し、2025年には47億1000万ドルに達出見込みであるとの予想をTrendForceが公表した。

2025年には30億ドルを超す規模に成長するSiC市場

中でもSiCは、エネルギー貯蔵、風力、太陽エネルギー、EV、新エネルギー車(NEV)、要求の厳しいバッテリーシステムを利用する高出力アプリケーションなどで活用が進んでいる。現在、こうした市場アプリケーションの多くはSiベースのGIBTやMOSFETなどだが、EVに関しては、電池電圧を現状の400V程度から、800Vへと高める取り組みが進んでおり、そうした高電圧システムで有利なため、採用が加速すると見られており、その結果、SiCパワー半導体市場は2025年には33億9000万ドル規模に達すると予想している。

一方のGaNパワー半導体は、通信機器やスマートフォン(スマホ)、タブレット、ノートPCなどの急速充電用途での採用が拡大しており、今後も採用数が増加する見通しであることから、2025年には13億2000万ドル規模に達すると予想されている。

  • 2021年(実績)および2025年(予想)の第3世代パワー半導体(SiC/GaN)市場規模

    2021年(実績)および2025年(予想)の第3世代パワー半導体(SiC/GaN)市場規模 (出所:TrendForce)

なお、第3世代パワー半導体であるSiCやGaNのウェハは、従来のSiと比べ製造が難しく、高価であり、また大口径化もそこまで進んでいない。第3世代半導体ウェハメーカーであるWolfspeed(Cree)やII-VI、Qromisなどは、生産能力の拡充を図っており、2022年下半期には8インチ(200mm)ウェハの大量生産を開始する予定としており、今後、ウェハ供給量が増加すれば、ますますSiC/GaNに対する注目度は高まっていくことが予想される。