オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスは3月30日、ヤマガタデザインと「街づくり連携協定」を締結し、「SORAI TechAcademy」(以下、STA)を開始すると発表し説明会を開いた。
同サービスは地方都市で暮らす子育て世帯の収入増加に向けた仕組みづくりとして、未経験者のITスキルの習得からデジタル業務の受託まで一貫してサポートするオンラインプログラムだ。取り組みの第一弾として、山形県在住の子育て層を対象にしたプログラムを展開する。
STAは限られた時間の中でWebマーケティングや、デザイン、プログラミングなどのITスキルを効率よく学んだ上で、リモートワークでデジタル業務に取り組み報酬を得られるITスキル習得プログラムだ。提供する学習内容は「HTML/CSS3」「Webデザイン基礎」「Photoshopでの画像加工」「JavaScript/jQuery」など業務に直結するような研修を予定している。
約4カ月間の学習期間の後、スキルチェック試験に合格した受講者はSTAから案件を受託し業務を開始する。初めての仕事の受託をSTAが保証するため、実務経験がないために仕事に就けないといった事態を回避できる。現役のエンジニアやWebデザイナーによるサポートを受けながら業務にできるという特徴がある。
また、同プログラムの中で得られた技術や経験を基に、他社での就職活動やフリーランスとしての活動を開始できる。子育て世代の再就職のハードルの高さを解消し、「子育て世帯の収入増加で教育へ投資ができる仕組みづくり」を目指すとのことだ。
初等から高等教育までの公的支出がGDPに占める割合を見ると、日本はOECD37カ国中30番目と下位に位置する。日本の教育費の公的負担は国際的に見て低く、家庭の教育費負担は世界平均の2倍の水準だ。また、少子高齢化に対する自治体の財源硬直化や、雇用環境、収入などの地域間格差も地方在住の子ども達の教育機会に悪影響を与える要因となっている。
一方、子育て世代の就労に関する課題は残っており、子育てに伴う労働力率の低下などが顕著だ。女性の年齢階級別労働力率は、結婚や出産が増える30歳代に落ち込みが見られる、いわゆる「M字カーブ」を描くが、日本は他国と比較しても子育て世代が継続的に就労できる体制づくりが遅れている。
こうした背景を受けて両社は、地方都市で暮らす子ども達に回るお金の増加を目指して、「子育て世帯の収入増加で教育へ投資ができる仕組み」を支えるスキームを構築したという。
キラメックスの代表取締役社長である樋口隆広氏は「今後はさまざまな企業の賛同を得て、さらに多くの人と地域にプログラムを展開していきたい。子育て層の収入を増加して教育へ投資できる環境を整えるだけではなく、将来的にはプログラムの対象を学生まで広げ、地方の学生が自ら稼ぐ仕組みを作りたい」と展望を語った。
また、ヤマガタデザインの代表取締役を務める山中大介氏は「手前味噌だが、今回のプログラムは非常に良い仕組みだと思っている。地方の子育て世代や学生など、現在の税制度上搾取されている人たちが地方から高付加価値な仕事を提供できるような社会を作りたい」とコメントしていた。