ServiceNow Japanは3月29日、Now Platformの最新版「San Diego」のリリースを発表した。同社は毎年2回、Now Platformのバージョンアップを実施しており、今回は2022年の最初のバージョンアップとなる。
同日に開催された記者説明会で、 ServiceNow Japan 執行役員 ソリューションコンサルティング事業統括 事業統括本部長の原智宏氏は、「San Diegoは当社創業の地であり、今回は『The world Works with ServiceNow』と新たなブランドメッセージを打ち出すなど、グローバルで力の入ったリリースとなっている。今回のバージョンアップではさまざまな機能拡張がなされており、ビジネスのデジタル化を支援し、企業のスマートなエクスペリエンスを実現するうえでキーとなる3つのリリースを実施した」と発表した。
1つ目がUI(ユーザーインターフェース)の刷新だ。企業の顧客体験、従業員体験、事業運営の高度化・効率化、テクノロジーの活用、DX推進人材の育成の5つの領域を支援すべく、San Diegoでは「ビジネスをデジタル化する統一されたシングルプラットフォーム」をコンセプトに、新UIである「Next Experience」が採用されている。
2つ目が、さまざまなシステムやサービスをServiceNowに統合・自動化する新たなインテグレーション機能群「Automation Engine」の追加だ。Automation Engineはデジタルロボットを監視、管理、展開するための集中司令/管理センターとしての機能も持ち、RPA(Robotic Process Automation)、AI(人工知能)、ML(機械学習)、ローコード開発ルールなどを組み合わせて業務全体を自動化する「ハイパーオートメーション」の実現を支援する各種機能を提供する。
3つ目が、特定の業界向けに提供している「インダストリーソリューション」の拡充だ。従来から金融、通信、製造業界向けの機能を提供している。San Diegoでは、銀行業務を自動化するに「Deposit Operations」機能や保険商品向けのソリューション「Personal and Commercial Lines Servicing」が追加されたほか、テクノロジー業界向けの機能も新たに実装された。
3つのリリースの詳細については、ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャーの古谷隆一氏が説明した。
古谷氏は新しくなったUIの特徴について、「プラットフォームの拡張性、一貫性、セキュリティを維持しながら、最新のテクノロジーを導入することで25以上の新しいワークスペースと柔軟なカスタマイズ機能が実装されている。1日の長い時間、Now Platformを操作することになるサービスデリバリに携わる方をサポートすべく、統一されたナビゲーションやシンプルなワークフローとなっている」と述べた。
説明会では、San Diegoのデモンストレーションも行われた。Next Experienceではタスクの詳細(タスクの割り当て、数、優先順位など)やレコードリスト、グラフ、表など、作業者の業務に関連するすべての情報をホーム画面に表示できる。レイアウトの設定変更や、画面のライトモード・ダークモード選択なども可能だ。
ナビゲーション機能は画面左上にまとめられている。すべてのアプリケーションを検索できる「All」タブのほか、普段よく使う機能をブックマークする「Favorites」、最近開いたページを一覧できる「History」、自分がアサインされているワークスペースを一覧できる「Workspaces」のタブが利用できる。
Automation Engineからは、システム連携と業務自動化の対象にレガシーシステムを追加できる「RPA Hub」という新機能が紹介された。
Now Platformでは元々、「ServiceNow Integration Hub」というAPIをベースにシステム連携を行う機能を提供してきたが、同機能ではAPIへのアクセス機能を持たないレガシーシステムを連携させることができなかったという。
RPA Hubを利用することで、UIを軸とした繰り返し行われる作業を自動化しつつ、レガシーなシステムもServiceNowのワークフローと連携することができるという。
「インダストリーソリューション」では、テクノロジーサービスプロバイダー向けの機能である「Service Bridge」が紹介された。
Service Bridgeを利用することで、テクノロジーサービスプロバイダーのパートナー企業が提供しているサービス同士を繋げて、1つのサービスとして提供することができる。
古谷氏は、「Now Platformを利用する企業やパートナーのワークフローを連携・デジタル化することで、テクノロジーサービスの提供者からサービスユーザーにシームレスなサービス提供が可能になり、オペレーションも合理化できる」と語った。