地震や豪雨被害、活火山を抱えるなど、常に大規模災害のリスクを抱える日本。サイボウズは3月中旬、「クラウドで、アジャイルで、ノーコードで進化するサイボウズとkintoneが支える災害現場の『今』~インターネットテクノロジーによる災害支援の10年史~」と題したメディアセミナーをオンラインで開催した。
効率化を図り、災害対応の時間を創出
サイボウズ 社長室 災害支援チーム リーダーの柴田哲史氏は、2011年の東日本大震災からITによる災害支援活動を実施している。同氏は「東日本大震災で東京都が原発事故の避難者を味の素スタジアムで受け入れることを発表し、調布市と調布市社会福祉協議会(社協)に災害ボランティアに関する問い合わせが殺到し、個人的な知人から『電話対応に追われ避難所開設準備ができないので何とかしてほしい』と相談を受け、災害支援をスタートさせた」と振り返る。
その際は、避難所の状況や物資の募集などを伝えるホームページの開設やボランティア登録ができるWebフォームの作成、避難所運営支援を約2カ月間実施。社協は、被災者の生活支援や災害対策本部との協議により、災害ボランティアセンターの設置・運営を行い、全国の都道府県・市区町村に1つずつ設置(全国で計2000)されている民間団体だ。
災害は(1)発災初期、(2)応急期、(3)復旧期、(4)復興期のフェーズに分類されるが、(1)と(2)は自治体、(3)と(4)は社協と役割分担されている。
ただ、社協では災害対応を通常業務に加えて実施する必要があるほか、ITが苦手な職員が多いといった課題があり、2011年当時は避難所内の様子をホームページ上に見える化して、よくある質問を掲載することで問い合わせの電話を半減させ、避難者への対応や避難所運営に使える時間を増加させるなどの工夫を行った。
東日本大震災以降は、味の素スタジアム避難所での活動に関する研究会を各社協向けに実施し、2013年に東京都大島町(豪雨)、2014年には群馬県前橋市(大雪)、広島市(豪雨)など被災地の社協からIT支援を依頼されるようになった。