島津製作所は、京都大学、京都大学発スタートアップのSymbiobeなどとともに、科学技術振興機構(JST)が公募を行っている「令和3年度JST共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の「ゼロカーボンバイオ産業創出による資源循環拠点」事業に参画することを3月29日に発表した。
同事業では、大気中の二酸化炭素や窒素を固定する海洋性光合成細菌を活用して、温室効果ガスを削減しながらさまざまな製品や有用物質の生産を目指すという。
具体的にはバイオプラスチック、タンパク質などのバイオ高分子の生産や、その過程で生じる光合成代謝産物を利用した農業用窒素肥料、水産養殖用飼料の開発を進めていくとしている。
海洋性光合成細菌を利用して、効率的に二酸化炭素や窒素の固定を行い、生産物の原料をより多く合成するためには、大規模な培養が必要だ。そのため、同事業において、京都大学桂キャンパス内に海洋性光合成細菌培養デモンストレーションプラント(デモプラント)を設け、稼働を開始した。
これまでの実験では、培養容量の上限は1000リットルだったが、今回のデモプラントでは4000リットルの培養に取り組むという。
Symbiobeは、京都大学大学院工学研究科の沼田圭司教授の研究成果をもとに、2021年1月に設立されたベンチャー企業で、沼田教授はこれまでに、海洋分解性バイオプラスチック(ポリヒドロシキアルカン酸)の合成やタンパク質繊維(人工クモ糸)の合成に成功するなど、海洋性光合成細菌によるさまざまなバイオ高分子の生産について成果をあげてきた。
同事業でSymbiobは、「デモプラントにおける光合成細菌の培養条件最適化」と、「デモプラント稼働後の運転・モニタリング」を、京都大学による技術指導のもと担当する予定だ。
島津製作所は同事業において、デモプラントにおける二酸化炭素や窒素の固定化定量データの計測ならびに収集プロセス構築を担当し、計測にあたっては、全有機体炭素計(TOC計)やガスクロマトグラフ(GC)などの分析機器を用いる予定だとしている。