Vicorは、フカデンが開発・製造する、ドローン向け有線給電ユニット「電源制御BOX II メイン電源ユニット」にVicorのDC-DCコンバータ「DCMシリーズ」が採用されたことを3月23日に発表した。
フカデンの有線給電ユニットは、通信基地局の機能を搭載したドローンへの電力供給に用いられ、災害時の通信サービスの早期復旧などに役立てられる。
電源制御BOX II メイン電源ユニットは、最大150mの長さのケーブルに対応し、最大1kWの電力を送電可能。有線給電ユニットを3台並列に接続すれば、最大3kWの電力を送電できるという。同ユニットを用いて、無線通信基地局を載せたドローンを地上約100m上空にホバリングさせることで、直径10kmエリアに通信サービスを提供できるとしている。
従来、有線ドローンのデメリットは、ケーブルの太さと重量であり、ケーブルが太いと重量が増し、より多くの電力を必要とし、重量が重くなるほど、必要な電力が増えるので、最新のセンサ、周辺機器、高解像度ビデオカメラなどの搭載機能が制限されていた。
フカデンの有線給電システムを利用したドローンは、給電電圧を従来のDC24VからDC370Vに上げることで供給電流を約15分の1に低減でき、1kWの送電用ケーブルの重量は1メートルあたり125gから11.1gになり、ケーブルの重さを約11分の1に軽くすることができたという。
DC370Vの高電圧給電では、負荷に合わせて降圧するためのDC-DCコンバータをドローンに搭載する必要があり、DC370VをDC24Vに降圧するDC-DCコンバータにより、モーター駆動などのための24V電源パスに給電する。
当初フカデンのドローンには、一般的な降圧型DC-DCコンバータが搭載されていたが、重く、サイズがかなり大きかったため、小型で軽量なVicorのDCMシリーズに置き換えたという。
VicorのDCMシリーズは、絶縁型DC-DCコンバータ。高周波ゼロ電圧スイッチング(ZVS)技術を採用しており、変換効率と出力電力密度が高いことが特徴だ。一般的なDC-DCコンバータと比べると、圧倒的に小型で軽いDCMを用いることで、体積を約4分の1に、重量を2分の1以下に抑えることが出来たとしている。
また、フカデンは、VicorのDC-DCコンバータ「BCM」シリーズを採用し、最大9kWの電力を供給できる有線給電ユニットも開発。供給電圧をDC700Vまで上げることにより、さらに細いケーブルを使うことが可能となった。BCMを3つ並列接続して使っており、1台で最大4.5kWの電力を供給でき、このフカデンの有線給電ユニットを2台並列に接続して用いれば、連続で最大9kWの電力供給も可能だという。
この電力供給により92時間のドローン稼働が実現し、直径10kmエリアの通信機能を維持できるという。