AGCは3月29日、5G(第5世代移動通信システム)ミリ波(28ギガヘルツ)帯の屋内通信エリア構築に向けて、屋内の窓ガラスに設置可能な固定無線アクセス機器(FWA-CPE)用透明アンテナを開発したことを発表した。今後は性能の最適化と信頼性の確認を進めて、2024年の実用化を目指すとしている。

5Gミリ波などの高周波数の電波は大容量のデータを高速で受発信できる一方で、直進性が高く減衰しやすいため屋内に電波が届きにくく、屋外基地局による建物内の通信エリア化が課題とされていた。解決策の一つとして、アンテナを内包したFWA-CPEを窓ガラスに直接設置する方法が提案されているが、景観を損ねるだけでなく、特に寒冷地では製品の発熱によって窓ガラスが割れてしまう「熱割れ」が問題だ。

そこで同社は、超低損失ガラス基板と、ALCAN Systems社の液晶方式フェーズドアレイアンテナを組み合わせることで、5Gミリ波向けFWA-CPE用透明アンテナを開発した。同製品はFWA-CPE本体とアンテナ部分を分離し、透明アンテナを窓ガラスに取り付ける設計としたことにより、景観を損ねず高い採光性を保ちながら屋内のWi-Fi無線エリア化を実現するという。さらに、アンテナ部分の発熱を抑えたため窓ガラスの熱割れリスクを大幅に低減したとのことだ。