川崎重工業(以下、川崎重工)は3月28日、同社の明石工場のモーターサイクル製造ラインで無人自律走行可能な多用途UGV(Unmanned Ground Vehicle)でエンジン運搬を行う実証実験に成功したことを発表した。
2022年3月に同社の明石工場で実施された実証実験では、エンジン工場から15台のエンジンを多用途UGVに積載、300m離れた組立工場まで無人自律走行で搬送。多用途UGVが自律走行で狭い工場内通路や工場外の道路を移動し、道路内での飛び出しや障害物を自動検知するなど無事に作業を完了させた。
実験に活用された多用途UGVは、カワサキモータースのオフロード四輪車両「MULE」に無人自律走行用システムを搭載し、パワーユニットには、エンジン仕様とEV仕様を用意。足回りは、未舗装路のオフロードにも対応させ、車体には搬送用キャリアや人の乗車を目的としたシートを装備するなど状況に合わせたカスタマイズが可能だ。
同社では、グループビジョンで注力する「近未来モビリティ」として、多用途UGVの開発を推進してきたが、今回の実験結果により、多用途UGVを使った無人物資輸送システムとして提供する道筋をつけた形となる。同技術は物流業界の課題の一つである人手不足対策、搬送業務の更なる効率化に貢献するものとして今後の運用が期待される。