NTTコミュニケーションズ(NTT com)とNTTアノードエナジーは3月28日、NTT Comのデータセンター利用企業向けに、4月1日から再生可能エネルギー(再エネ)を選択できる電力メニューを提供すると発表した。料金は個別見積もりとなる。
同社は併せて、石油や石炭などによらない非化石燃料で発電した電気であることを証明する「非化石証書」を発行し企業に提供することで、今回の電力メニューを通じて利用している再エネが、地球温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)の排出がないことを示す「環境価値」を可視化する。
同日に開催された記者説明会では、電力メニューの詳細と環境価値を提供する意義が説明された。
プラットフォームサービス本部の松林修氏は、「電力メニューからは、自社専用の追加性(新たな再エネへの投資を促進する効果)があるグリーン電力としてオフサイトPPAも提供する。非化石証書は、国際的な環境イニシアティブや地球温暖化対策の推進に関する法律における、自社の脱炭素化の取り組み報告にも活用できる。脱炭素化に向けた企業のESG(環境・社会・ガバナンス)経営の推進を後押しするとともに、環境価値の可視化が企業イメージの向上にも繋がると考える」と述べた。
オフサイトPPA(オフサイト型コーポレートPPA)は、遠隔地の発電設備から送配電網を介して需要家へ送電するモデルで、需要家が発電事業者から再生可能エネルギーの電力を長期に購入する契約となる。
今回提供される電力メニューは同社の東京第5、第8、第11、横浜第1、埼玉第1のデータセンターで利用できる。対象のデータセンターをケージまたはルーム単位で利用している企業は、データセンター内のICT機器で使用する電力に、再生可能エネルギー由来の電力を選択できる。
電力メニューは、以下の4つタイプから選択できる。なお、いずれのメニューも発電所の場所や電源種別が示されるトラッキング付き非化石証書の情報がセットで提供される。
①電源種別およびFIT、非FITの指定不可
②電源種別の指定のみ可能
③電源種別の指定と非FIT指定が可能
④オフサイトPPA(追加性がある発電所を企業の個別の要望に合わせてNTT AEが提供)
「オフサイトPPAは、再生可能エネルギーの電源種別にこだわりのある企業向けのプレミアムなメニューとなる。例えば、大規模な水力発電の建造にあたってはコンクリートの調達が必要になるが、脱炭素を図るうえでは年月がかかり、環境破壊の懸念がある。そうした際に、追加性があると言われる太陽光発電を選択できる」と松林氏。
NTT comはカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、自社のカーボンニュートラルを目指す「Green of ICT」と社会・顧客のカーボンニュートラルを目指す「Green by ICT」を推進している。
2030年には自社で提供するネットワーク・データセンターのカーボンニュートラル実現を目標に掲げている。記者説明会では壁面吹き出し空調方式や間接蒸発冷却式空調の採用のほか、AIエンジンを活用したサーバールーム内の空調のリアルタイム制御など、同社のデータセンターの省エネ、電気料金削減の取り組みが紹介された。
Green by ICTの領域では現在、「CO2排出量可視化」「エネルギー最適化」「消費者の行動変容促進」「サーキュラーエコノミー」に関わる施策を展開している。
代表取締役副社長 副社長執行役員の菅原英宗氏は、「CO2排出量可視化の分野では、排出量の算出・開示証明書・レポートの提供を行う。今後はデータセンターに関わらず、クラウド、ネットワークなど当社の主要サービスでもCO2可視化を進めたい」と語った。