ユニコードコンソーシアムは3月28日(米国時間)、「The Unicode Blog: The Past and Future of Flag Emoji」において、今後あらゆるカテゴリの「国旗」の絵文字に関しては提案を受け付けないと伝えた。自動的に策定される国旗データを除き、これまで受け付けてきたような個別の国旗提案は処理されなくなる。

  • The Unicode Blog: The Past and Future of Flag Emoji

    The Unicode Blog: The Past and Future of Flag Emoji

1990年代、KDDIとソフトバンクは携帯で日本を含む米国、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、英国、韓国、中国、ロシアという10カ国の国旗の絵文字を使っていた(これはハンバーガーといった絵文字が追加される前の段階で、例えば「夕食にアメリカン食べるか、それもとイタリアンにする?」といったニュアンスのメッセージで使われていたという説があると説明されている)。

ユニコードコンソーシアムは紆余曲折を経て、初期の段階でこの10カ国にいくつかの国旗を追加してKDDI、ソフトバンク、ドコモ、Apple、Googleなどの間で正確に国旗を含む絵文字を相互交換できるようにした。

ユニコードコンソーシアムは「どの絵文字が国で、どの絵文字が国ではないか」を決定する機関ではないため、国際連合(UN: United Nations)が承認した国が示されている「ISO 3166-1」を国名表示の基本的な根拠としている。これまでは個別に国旗提案を処理してきたが、今後はこの「ISO 3166-1」のリージョンコードを持つ国だけが自動的に処理されることになるという。例えば、「ISO 3166-2」は国の一部と認識されており、今後その国旗が提案されても処理されることはなくなる。

国旗の絵文字は使用頻度が低いにもかかわらず、登録されている数が多い(わずか3,600の絵文字のうち200以上が国旗の絵文字)。国旗絵文字の提案を処理することは他の国や地域に対する排他的態度として機能する可能性があるほか、そもそもそうした提案に絵文字を求める以上の要求がある可能性が指摘されている。こうした点を考慮し、ユニコード標準を変更してまで国旗の絵文字を増やすのはユニコードコンソーシアムとしては適切とはいえないという考え方を示している。

なお、Windowsはこれまで国旗の絵文字のグラフィックをサポートしていない。「The Unicode Blog: The Past and Future of Flag Emoji」にはKDDIとソフトバンクの携帯で使われていた日本、米国、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、英国、韓国、中国、ロシアの国旗の絵文字が使われているが、Windowsでは国旗ではなくISO 3166-1 alpha-2が表示される(なお、Windowsでもアプリケーションによっては国旗の絵文字が表示される)。MacやiPhoneで閲覧した場合には国旗の絵文字が表示される。