AGCは、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟において、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の保有する静電浮遊炉を活用し、高融点材料である酸化ガリウム(Ga2O3)の融液物性測定に成功したことを3月28日に発表した。

  • 酸化ガリウム融液物性測定の様子

    酸化ガリウム融液物性測定の様子(C)JAXA(出典:AGC)

AGCは2018年よりノベルクリスタルテクノロジーと酸化ガリウムに関する共同研究に取り組んでいる。酸化ガリウムは融点が約1800℃と非常に高温であるため、従来のるつぼに試料を入れ溶融させる方法では、るつぼの不純物が混入してしまい、酸化ガリウム単結晶製造時の数値シミュレーションに必要な、融液物性値の取得が困難だという課題があった。

JAXAの保有する静電浮遊炉は、微小重力状態で試料を浮遊させ、るつぼを用いずレーザーで試料を溶融するため、高融点材料の融液物性値を高精度で取得することが可能。

今回、静電浮遊炉の有償利用制度を使用して実験を行い、融点を含む幅広い温度域での酸化ガリウムの融液密度に加え、粘性係数や表面張力などの融液物性値の取得に成功した。

今後は取得したデータを用いて数値シミュレーションを行うことで、酸化ガリウム単結晶基板の高品質化・大口径化に向けた技術開発を加速するとともに、製造時のさらなる歩留まり向上を目指していくとしている。