Recorded Futureの脅威インテリジェンスチームであるInsikt Groupは2022年3月24日(現地時間)、ロシア政府が拡散しているウクライナの生物学研究施設についての偽情報に関する分析レポート「Russian State-Sponsored Amplification of Bio Lab Disinformation Amid War in Ukraine」を公開した。ロシアの政府や国営メディアは、ウクライナにある生物学研究施設が、米国の支援を受けて生物兵器の開発を行っているという虚偽または誤解を招く情報を発信している。Insikt Groupのレポートには、この情報発信について、歴史的な経緯や標的の場所、方法、そしてその理由などがまとめられている。

  • Russian State-Sponsored Amplification of Bio Lab Disinformation Amid War in Ukraine

    Russian State-Sponsored Amplification of Bio Lab Disinformation Amid War in Ukraine

Insikt Groupによれば、ウクライナの生物兵器開発に関するロシアの主張は新しいものではなく、数十年にわたって繰り返し行われてきた情報戦の延長線上にあるという。この偽情報はロシアと欧米諸国のメディアで広く報道されたほか、QAnonや、COVID-19に関する陰謀を信じる人々などの間でも信じられ始めている。そして、偽情報はロシア政府が影響力を持つエコシステムの中で増幅フィードバックのループを作成することに成功した可能性があるという。

ただし実際には、ウクライナの生物学研究施設が生物兵器の研究または開発に従事していたことを示す確かな証拠は提出されていない。それどころか、これらの施設が医学研究の範囲内でのみ運営されていることはほぼ確実だとInsikt Groupは指摘している。

もしロシアに影響力のある脅威アクターが、ウクライナの生物兵器開発に関する偽情報の拡散が成功を収めていると判断した場合、この情報戦略がより促進される可能性が高いとInsikt Groupは警鐘を鳴らしている。Insikt Groupによる完全なレポートは、上記URLからPDF文書としてダウンロードすることができる。