KDDI総合研究所、東北大学、住友電気工業(住友電工)、古河電気工業(古河電工)、日本電気(NEC)、オプトクエストの6機関は3月28日、主要な国際データ通信インフラである、光海底ケーブルシステムの大容量化技術の研究開発を実施したことを発表した。

今後も継続的な拡大が予想されているデータ流通量に対応するため、総務省委託研究の研究開発課題である「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」において、技術課題Ⅱ「マルチコア大容量光伝送システム技術」に取り組んだとのことだ。

今回の研究開発では、光が伝搬するコアを光ファイバー中に複数設けるマルチコアファイバーに着目し、長距離の光海底ケーブルシステムへ適用するための伝送方式の検討を行った。その結果、実験室内での伝送実験によりその有効性を確認したという。

  • 光海底ケーブルの大容量化を実現する研究成果

具体的には、「マルチコアファイバを用いた長距離伝送方式の開発・実証」「マルチコアファイバを収容した光海底ケーブルの開発」「マルチコアファイバの特性評価技術の開発」「空間多重型高密度光デバイスの開発」「マルチコア光増幅中継方式の開発・実証」の5点の研究開発を実施した。

同時に、マルチコアファイバーを収容した光海底ケーブルや小型のマルチコア光増幅器、光海底ケーブルの特性評価技術を開発し、光海底ケーブルシステムの持続的な大容量化を実現するための基盤技術も確立している。

これらの研究結果により、アジア域などをカバーする3000キロメートル級の光海底ケーブルシステムにおいては、4コアファイバーを32心(16対)収容した光海底ケーブル・複合機能デバイス・光増幅中継器で構成することで、既存システムの7倍に相当する1.7ペタビット毎秒程度まで容量を拡大できる可能性があることが確認されたとしている。