KDDII総合研究所は3月23日、無線信号波形を光アナログ伝送する光ファイバー無線技術において、1本の光ファイバーで伝送する無線信号の数を576チャンネルとし、総容量1.3テラビット毎秒の伝送実験に成功したことを発表した。実証実験は2021年10月に実施したとのことだ。

これにより、1本の光ファイバーで最大576拠点分の基地局アンテナを一括収容可能となるため、多数の基地局アンテナを分散配置することでより少ない光ファイバー数で効率よくネットワークを構築できるようになると期待される。

  • 光ファイバー無線技術を用いた基地局アンテナの収容構成のイメージ

今回、同社は1本の光ファイバーの中に複数本のコアを配置するマルチコアファイバーを用いた空間多重、光の波長多重、複数無線信号の周波数多重を組み合わせて、多数の基地局アンテナに向けた無線信号を1本の光ファイバーで一括送信する、光ファイバー無線技術の伝送実験を行った。

同実証においては、長さ12.8キロメートルの標準外径4コアマルチコアファイバーを伝送路に利用し、8波長多重された光アナログ変調信号を各コアで伝送している。光アナログ変調信号には5G無線システムのミリ波帯で用いられる帯域幅400メガヘルツの無線信号18チャンネル分を周波数多重したIFoF信号(Intermediate Frequency over Fiber:複数の無線信号を中間周波数帯で周波数多重しアナログ光変調により伝送する方式)を用いており、合計で576チャンネル分(4コア×8波長×18チャンネル)、総容量1.3テラビット毎秒に相当する無線信号を1本の光ファイバーで多重伝送できることを示した。

従来の5Gミリ波相当の無線信号を用いたIFoF信号多重伝送では96チャンネルが最大であり、今回は多重数を6倍に拡大したことになる。