東京エレクトロン デバイス長崎とさくらインターネットは3月22日、サーバーラック・セキュリティーシステム電子錠コントローラ「RMS-EL128」の共同開発を発表した。同日より受注も開始する。

  • 「RMS-EL128」の製品画像。上が子機(RMS-EL128-D)で、下が親機(RMS-EL128-M)となる

同製品は、NFC(Near field communication)によって各ラックに設置された電子錠ハンドルを個別に認証・解錠できるセキュリティーシステムとなる。多様なサーバラックに対応する電子錠ハンドルを採用しているため、既存ラックへの導入が可能だ。

従来のデータセンター向け電子錠システムは、20~30基程度のラックを一度に解錠したり、制御パネルなどによって解錠ラックを指定したりするものが一般的だったが、同製品を活用したシステムでは権限が与えられたラックだけを担当者がカードキーで解錠できるため、ラック解錠にデータセンタースタッフが立ち会う必要がない。

システム構成としては、管理システムを構築するクラウドサーバー、クラウドサーバーに接続する親機(2台)、各ラックに設置するカードリーダー機能と電子錠制御機能を持つ子機(128台)から構成される。親機の標準価格(税別)は60万円、子機は5万4000円となる。

  • 「RMS-EL128」を使用した電子錠システム構成図

親機から子機の配線の終端に別の親機を接続することで、電源断や故障などによって1台の親機がシステムダウンした場合でも、もう一方の親機がシステムを制御することが可能だ。

カードキーの通信にはFeliCaとMifareの2方式を採用しているので、入退室管理システムなどと通信規格を共通化できる。また、ラック内の配線や制御通信ケーブルの取り外し・切断などの物理攻撃による異常を検出できるうえ、子機にオプションの温度センサーをつければラックの温度監視も可能となる。

同製品はさくらインターネットのデータセンター運用業務から生まれたニーズやアイデアを基に開発されており、同社の一部データセンターにて2022年夏より製品の運用を開始するという。