生産性アップの手法はいくつかあるが、100年以上の歴史を持つのがアイビーリーメソッドだ。タスクを6つに決めるというシンプルなものだが、本当に生産性は上がるのか?ニュースと情報サイトのMetroが「Can the Ivy Lee productivity method really help you get more done?」という記事で、試した結果をレポートしている。
アイビーリーメソッドとは、パブリックリレーション(広報)分野の草分けと言われる米国のビジネスマン/コンサルタントのIvy Lee氏が考案した手法。その経緯も面白い。”鉄鋼王”とも言われたBethlehem Steel Corporationの社長、Charles M. Schwab氏が、もっと自分のチームの効率を上げたいとLee氏に相談したことがきっかけだという。時代は1918年にさかのぼるーーちょうどフォードがT型の大量生産を開始した頃だ。
アイビーリーメソッドとは、次のようなものだ。
- できれば前日夜に6つの重要なタスクを、優先度が高い順にリスト化する
- 1番目のタスクから順番に進める
- タスクが完了してから次のタスクに進む
- その日中に終わっていないリスクがあれば、次の日の優先順位でトップにする
至ってシンプルなものだが、これで効率は上がるのだろうか?
1年間やってみたというMetroの記事の記者は、結果として4つのメリットがあると報告している。
1つ目は、「決断疲れ」が減ること。前日に計画(作業の順番)を立てておくことで、あれこれ迷うことがなくなる。そして、ライフコーチのCatri Barrett氏の「我々の生活には情報、選択肢が溢れており、これが疲れを招いている」という言葉を紹介する。意思決定プロセスがなくなることで、朝すぐに仕事が開始できるというわけだ。
2つ目に挙げるのは、計画と実行を分けることができるというメリットだ。よくよく考えると、もっとも難しいのは意思決定プロセスの部分ではないだろうか? 一度やることを決めればあとは作業をするだけ。何からやるかが決まらないとソワソワしたり不安になるが、決めると楽になるものだ。前日に計画を立て、翌日は実行、と計画と実行を分離できるので、生産性が上がるのだという。
3つ目はマルチタスクがなくなることだ。作業を順番に進めていくので、複数を平行して進めるマルチタスクよりも集中力がアップし、一気に進めることができる。
4つ目はToDoリストを楽しむことができること。優先度の高い順に作業を進め、1つの作業が終わったらチェックマークをつけることでやる気も出る。また、数日やればどの作業にどのぐらいの時間がかかるのかがわかってきて、大きなタスクなら分割するなどの工夫も出てくる。なお、アイビーリーメソッドではなるべくタスクを細かくするのがコツだという。
このようにアイビーリーメソッドは確かにメリットがあるようだ。一方で、作成されたのは100年前、現在の我々の仕事環境とは大きく異なる。ミーティングが多い日は6つもこなせないかもしれないし、リストの数など自分なりにカスタマイズしてみるのもいいかもしれない。
アイビーリーメソッドを簡単に試せそうなのがGmailでのToDoリスト。以前も紹介したがGmailからTodoリストを簡単に作成できる。GmailメールインタフェースからクリックひとつでToDoリストに加えることができ、日付を設定しておけばカレンダーにも登録される。
リスト作成機能を活用すると業務やプライベート、趣味や家事と多様なToDoリストを作成できる。アイビーリーメソッドはシンプルな重要度を6つ作るということだが、一番上に表示されるデフォルトリスト下矢印をクリックし「新しいリストを作成」をクリックすると名前を付けて新リストを作成できるのでメールからのToDoや直接入力で翌日の6つのタスクを追加しておく。
タスクを右クリックからはサブタスクも追加できるのでアイビーリーメソッドの6つに詳細なサブタスクを割り振れるため、複雑なリストにも対応。インデント(字下げ)やドラッグでの順序の入れ替えも可能で優先順位を与えることも可能だ。Google ToDoアプリも公開されており即座に同期連携するため、常にリストを持ち歩けるのも便利な点だ。シンプルであっても歴史をくぐり抜けてきた方法には、利点があるもの。筆者も試してみようと思った次第だ。