市場調査会社のIC Insightsによると、2022年のファウンドリ業界の成長率は、2019年に前年比2%減とマイナス成長を記録して以降、2020年は同21%増、2021年も同26%増と2年連続で20%を超し、2022年も同20%増と3年連続で20%を超す成長となると予想されるという。
この背景には、5Gスマートフォン(スマホ)向けアプリケーションプロセッサやその他の通信デバイスの販売拡大があるとみられるという。
同社では、ファウンドリ市場が近年でマイナス成長に陥ったのは2009年(同11%減)と2019年(同2%減)のみで、少なくとも今後5年間はマイナス成長に陥ることはないと予想している。2004年から2021年までの成長率を見ると、そのうちの9年間が9%以下の成長率、残りの9年間が2桁の成長率で、この2桁の成長率を記録した年は、2004年(同40%増)、2006年(同20%増)、2010年(同43%増)、2012年(同16%増)、2013年(同14%増)、2014年(同13%増)、2016年(同11%増)、2020年(同21%増)、2021年(同26%増)となっている。
ファウンドリの中心となっているアジア
2021年のファウンドリ上位12社のうち9社はアジアに本社を構えていたという。残りの3者は、欧州に本社を構える特殊ファウンドリのX-Fab、イスラエルTower Semiconductor、米国GlobalFoundriesとなっている。
ファウンドリ業界ではTSMCが圧倒的な強さを見せているが、それとは別に中国勢が存在感を増してきているという。特に2021年は、SMICの売上高はファウンドリ市場全体の成長率である同26%増よりも高い同39%増を達成したほか、華虹グループは同52%増を達成するなど、躍進しており、その結果、2021年のファウンドリ市場における中国勢のシェアは前年から0.9ポイント増加の8.5%へと拡大させている。
なお、IC Insightsでは、専業ファウンドリ市場における中国勢のシェアは2026年まで比較的横ばいであるとの見方を示している。中国を拠点とするファウンドリは、膨大な額の政府および民間からの投資を活用することが見込まれるが、一方でSMICが、米国商務省のエンティティリストに記載され、微細プロセス向け半導体製造装置を購入できない状況となっているおり、今後も中国勢が先端プロセスでのファウンドリサービスを提供できるようになる可能性は低いとみられていることが、そうした見方となった模様である。