2022年3月16日午後11時36分、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4(暫定値)の大きな地震が発生したことを受け、半導体市場動向調査会社のTrendForceは、17日午後の時点での日本の半導体および関連工場の操業への影響についての分析(速報)を発表した。

それによると、岩手県北上市にあるキオクシアのK1 Fabが、1月末に発生した汚染材料使用による操業停止の影響に加えて、今回の地震の影響で2022年第1四半期の生産数量がさらに低下する可能性があるとしている。

キオクシアのK1 Fabではマグニチュード5が観測されたとのことで、一部の製造装置が揺れを検知して稼働を停止したという。現在、装置や仕掛りウェハの状況を調査中とのことだが、全体的に大きな被害は出ていないという。

K1 Fabはキオクシアの2022年における生産能力の約8%を占める工場で、週明けまでにどこまで回復するかが注目される。

NANDメモリのスポット価格は、2月以降、先だって生じたキオキシアの四日市・北上両工場における原材料の汚染の影響から価格が上昇しているが、ロシアのウクライナ侵攻による大きな影響は見られないという。今回の地震の後も、価格は安定しているとのことで、TrendForceでは、全体的なスポット需要は依然として弱く、今回の地震で価格が大幅に変動する傾向はないと見ている。

また、シリコンウェハに関しては、SUMCOの山形県米沢工場と信越化学工業の福島県白河工場の両方が震源に近い位置にあり、マグニチュード5が観測されたという。地震の影響はまだ公にされていないが、TrendForceでは、装置の損傷と結晶成長装置にしかかったインゴットの支障は避けられないと見ている。ただし、2011年の東北地方太平洋沖地震と津波の影響を踏まえ、生産計画の再配分に加えて建物の補強が行われたため、全体的な被害は軽微である可能性があるともしている。

さらに、ファウンドリとして日本には、UMC Fab12M(12インチ、三重県)、タワーパートナーズセミコンダクタ魚津工場(12インチ)、砺波工場(8インチ)、新井工場(8インチ)を含む2つの12インチウェハファブと2つの8インチウェハファブがあるが、いずれの震度も1~3程度で、正常動作を続けており、地震による影響はほとんどないとみられるという。

一方のIDMであるルネサス エレクトロニクスは、震源地付近には、那珂工場(茨城県)、高崎工場(群馬県)、米沢工場(山形県)があり、いずれも地震発生後に操業を停止している。ただし、ルネサスによれば、18日付でいずれの工場も17日から製造設備の立ち上げを開始し、同日、一部工程(テスト工程)で生産を再開したとしているほか、地震発生前の生産能力(生産着工ベース)には、那珂工場および高崎工場が3月23日をめどに、米沢工場が3月20日をめどに復帰する見込みだとしている。