TeamViewer ジャパンは3月17日、2022年の事業戦略発表会を開催した。同社はPCやモバイル端末をリモートで操作・管理するためのリモート接続プラットフォームやAR(拡張現実)ソリューション、工場の機械やロボットなどのデバイスの遠隔で操作するIoTソリューションなどを提供している。
発表会にはカントリー・マネージャーの西尾則子氏が登壇し、今後のビジネスで注力する取り組みを説明した。同社は2019年に日本でエンタープライズビジネスを立ち上げ、販売パートナー向けのプログラムをスタート。2021年からはOT(Operational Technology)向けのパートナープログラムも開始している。
西尾氏は、「パートナーは56社から144社に増えた。パートナーによる販売も継続して伸びたことに加えて、OT分野での認知度向上も追い風となって、エンタープライズ全体の売上も55%の成長となった。また、従来製品だけでなく、OT向けのTeamViewer Assist ARやTeamViewer Frontlineも含めて、6社の新規導入事例を獲得できた」と2021年のビジネスを振り返った。
2022年のビジネスでは、中小企業向けの施策を充実させるという。具体的には、製品の導入支援にはじまり、顧客企業のビジネス要件、業務内容をヒアリングしてのコンサルティングを構想しているという。
また、顧客企業を技術的に支援するプロフェッショナルサービスも拡充する。ユーザーからのニーズが多い製品導入時のトレーニングやカスタマーサービスの充実のほか、OT製品導入時のワークフロー改革、製品組み込みにおける技術支援などが例として挙げられた。
プロモーションやソリューションの共同開発といったパートナービジネスの推進や、2月1日に発表された名古屋オフィスの開設についても触れられた。名古屋オフィスでは、西日本エリアのDX推進をはじめ、中京エリアの製造業における新サービス創出を目指すという。
「当社が2022年1月下旬に実施した調査では、日本の大手企業と中小企業でデジタル化の進展に大きな差異があることがわかった。大手企業の約65%がデジタル化を達成しているのに対して、中小企業は約27%に留まる。中小企業でDXが進まない理由としては、大企業に比べてコスト判断が厳しく、人材を揃えることが難しいといったことが挙げられるだろう。当社のIT、OT製品を活用してDXを支援していきたい」と西尾氏は語った。
TeamViewerのグローバルでの製品戦略についても紹介された。ビジネス開発部長の小宮崇博氏は、「当社製品の導入企業でどういう使い方をされているか、どんな困りごとがあるかにフォーカスして、既存ビジネスのデジタル化ユースケースの開発に注力していく。また、エンタープライズ向けのサービスとの連携も深めていく。将来的にはAI関連のソリューションを提供していく予定だ」と明かした。
エンタープライズサービスについては、SAPの倉庫管理ソリューション「SAP Extended Warehouse Management」とTeamViewerのピックアップ向け製品との連携や、資産管理ソリューション「SAP Asset Manager」と品質検査機能との連携などを予定しているという。