JX金属は3月16日、米国アリゾナ州での半導体製造用スパッタリングターゲット工場建設に続き、茨城県ひたちなか市にも、半導体製造用スパッタリングターゲット工場を建設するべく、用地を取得したことを発表した。
取得用地の敷地面積は24万m2で、設備に対する投資の詳細は今後決定することにしているが、同社先端素材分野における過去最大規模となる2000億円規模の投資となる見込みだという。新工場は、2025年度初頭より順次操業を開始し、最終的には500名以上を新たに雇用する予定だとしている。
需給がひっ迫する半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条といった先端素材は、この先も予想される旺盛な需要環境に対応できる供給体制の早期構築が同社にとって緊急な課題となっており、今回の投資決定となったという。
また、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条といった既存成長分野に加え、結晶材料など先端素材関連の新規事業を担う同社の新たな中核拠点とすることを目指すとしている。結晶材料の具体的な名称は明らかにされていないが、「6G」時代における光通信の増加で成長が期待されるとしている。同社は、2020年以降、次々世代高周波無線通信向け酸化ガリウム結晶開発ベンチャーであるノベルクリスタルテクノロジーに出資し、酸化ガリウム結晶の実用化に向けた開発協業を行う動きなどを見せている。
ひたちなか市は、茨城県内の同社日立事業所や磯原工場からも距離が近く、本社へのアクセスも良好であるため、これら拠点との一体運営が可能になり、これらの拠点間連携をさらに強化するとともに、茨城県内に本社機能を一部移転することも検討しているという。
なお、JX金属の先端素材の多くは世界トップクラスのシェアを有しており、データ通信の高度化に不可欠であることから、その安定供給が世界中から強く求められているという。今回の新工場建設は、これに資する重要な施策で、「2040年JX金属グループ長期ビジョン」で掲げる「技術立脚型企業」への転身に向けた施策を推し進め、グローバル企業を目指すという。