IDC Japanは3月17日、国内産業用ネットワーク機器の市場予測を発表した。これによると、2021年の同市場は、成長に急ブレーキがかかった2020年から反転し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大前の2019年を上回る24.5%の成長を達成した。
工場、プラント、輸送機械といった一般的なオフィスとは異なる環境で用いられ、耐環境性能の高い産業用ネットワーク機器市場は、産業用イーサネットスイッチ、産業用ルータ、産業用無線機器で構成されている。いずれの製品分野も成長しており、中でも産業用無線機器市場は、前年比73.8%増と大きく伸びた。同市場を構成する産業用無線LANは、タブレットやPCの活用による現場のデジタル化やペーパーレス化が継続的に進む中で需要が増加しているという。
同社は2022年以降も、製造業を中心にデジタル化やIoT(モノのインターネット)の着実な進展により、国内産業用ネットワーク機器市場は成長を続けるとみている。2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は5.9%と予測した。
製品分野別で見ると、製造現場における無線ネットワークの活用とIoT化は、産業用無線機器の市場を大きく押し上げている。産業用無線機器市場における同期間のCAGRは23.6%になるとIDCは予測。また、生産機械をはじめとする「動かないモノ」のネットワーク化/IoT化に適している国内産業用イーサネットスイッチの市場は、2021年~2026年のCAGRで3.2%と着実な成長を続けるという。
「単に生産機械をネットワーク接続するだけではなく、DX実現に必要なデータ活用によってセキュリティリスクをいかに低減できるかという視点で、これからのOT(Operational Technology)ネットワークを各ステークホルダーに訴求することが求められる」とIDC Japanのグループディレクターである草野賢一氏はコメントしている。