米オラクルは3月15日(現地時間)、IaaS/PaaS「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」について、コンピュート、ストレージ、ネットワークに関する11の新しいサービスと機能を追加したと発表した。米オラクルのVice President, Products and Strategy Leo Leung氏に、注目すべきサービスと機能について聞いた。
コンピュートにおける拡張
Leung氏は、コンピュート・サービスについて、「さまざまなワークロードに対応するため、フレキシビリティがありながら、シンプルなサービスを目指している」と語った。具体的には、さまざまな種類のワークロードに対応するため、ベアメタル、Virtual Machine、コンテナといった多様なコンピュートを提供している。
加えて、マイグレーションしたり、プラットフォームを切り替えたりすることなく拡張できるよう、Virtual Machineにおける柔軟性の拡充にも注力している。Leung氏は、「83コアが必要な場合、OCIは83コアだけ使うことができるが、他社のクラウドサービスは128コア分の料金を支払う必要があるだろう」と、OCIの柔軟性の高さを強調した。
今回、コンピュートにおいては、「Container Instances」「AMD E4.Dense Compute Instances」「Oracle Cloud VMware Solution on AMD」が追加された。
Container Instancesでは、Virtual Machineのホスティングの直接管理やKubernetesのオーケストレーションを行うことなく、コンテナを利用することができる。Leung氏によると、シンプルなプロビジョニングが可能だという。
Oracle Cloud VMware Solution on AMDでは、 AMDベースの32、64、128コアの新しいコア・オプションを提供するため、ローエンドの企業でも小さいフットプリントから利用を開始することができる。
ストレージにおける拡張
Leung氏は、ストレージ・サービスの特徴として、「シンプル」「柔軟性」「パフォーマンスとコスト効率の高さ」を挙げた。例えば、1種類のブロック・ボリュームで、最も安価なものから最も高い性能に至るまで、あらゆる種類のワークロードに対応することができる。パフォーマンスとコストに関しては、「同等のパフォーマンスに対し、他社と比べて、50分の1のコストで済む」と同氏は話した。
今回、ストレージにおいては、「パフォーマンスベースで自動チューニングを行うブロックストレージ」と「高可用性のZFS」が追加された。Leung氏は、「以前は、ブロックストレージにおいて、デタッチしたものを一番下に持っていくという調整を行っていた。パフォーマンスに応じて自動チューニングする機能は業界でもユニーク」と語っていた。
ネットワークに関する拡張
ネットワーク・サービスは、「柔軟性」「セキュリティ」「シンプルな管理」を特徴としている。柔軟性を拡張する新機能として、「Content Delivery Network (CDN) Interconnect」「Content Delivery Network (CDN) Service」が追加された。
CDN Interconnectは、サードパーティーのCDNプロバイダーを利用して、ダイレクトにピアリング接続を確立することで、OCI Object Storageのアウトバウンド帯域を無料で提供するものだが、この機能は現在、北米のCloudflare CDN向けに提供されている。
また、CDN Serviceを利用すると、エンドユーザーに最も近いロケーションからデジタル・コンテンツを配信できるようになり、ユーザーに近いところにエッジを持ってくることになり、デリバリーコストの削減につながるという。
セキュリティを拡張する機能としては、「Flexible Web Application Firewall(WAF)」「Web Application Acceleration」が追加された。WAFは単一のポリシーを定義でき、ロードバランサーまたはエッジで適用可能であり、ロードバランサーでのWeb HTTPレスポンスのキャッシュと圧縮に対応した。
管理をシンプルにする機能としては、「Network Visualizer」「vTAP」が追加された。Network Visualizeでは、ネットワーク・パスについて仮想ネットワーク・エンティティに関する情報とともに可視化し、仮想ネットワークの構成ミスを特定して修正することを可能にする。
vTAPは、アウトバンドでネットワークトラフィックのパケットインスペクションを行う。Leung氏は、「オンプレのシステムで行っていたことを仮想環境でやると複雑になる。vTAPは、ネットワークをエンド・ツー・エンドで見られるようにすることで、ネットワークの管理をシンプルにする」と説明した。
最後に、Leung氏は「OCIはユーザーが必要なコンピュート、ストレージ、ネットワークを提供することができる。OCIは必要な調整は行われており、ユーザーはきめ細かな設定が行える。ユーザーが柔軟性を確保し、シンプルに使えるように、すべてのサービスに対応していく」と語っていた。