IDC Japanは3月16日、全世界の人工知能(AI)市場についての予測を発表した。同社はソフトウェア、ハードウェア、サービスの各カテゴリーを含む全世界のAI市場は、2022年には前年比19.6%成長し売上額は4,328億ドル(約51兆2,169億円)になると予測した。また、この市場は2023年には5,000億ドルを突破すると見込まれている。
「言語、音声、視覚テクノロジー、そして複合的なAIソリューションの進歩により、人間の効率性に革命的な変化が起こりつつある」と、米国IDC Worldwide Artificial Intelligence (AI) and Automation Research グループバイスプレジデント Ritu Jyoti氏は述べている。
3つのカテゴリー「AIハードウェア」「AIソフトウェア」「AIサービス」のうち、2022年にはAIハードウェアおよびAIサービスの支出成長ペースが速まる結果、支出額におけるAIソフトウェアのシェアが若干低下すると同社は予測。この傾向は2023年まで続く見通しという。全体として、今後5年間で最も急速な支出増加が見込まれるのはAIサービスであり、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は22%に達すると見られるという。一方、AIハードウェアのCAGRは20.5%。
AIソフトウェアの内訳をみると、AIアプリケーションが2021年前半の支出額で47%を占め、次いでAIシステムインフラストラクチャソフトウェアが35%となっている。成長率の観点で最も大きい伸びが予測されるのはAIプラットフォームであり、5年間のCAGRが34.6%と見込まれている。
そのAIアプリケーションの中でも、AI CRMやその他のAIアプリケーションと比べて、AI ERMが今後数年間で最も急速な成長が見込まれている。そのうち最も急速な成長が見込まれるのはAIライフサイクルソフトウェアであり、5年間のCAGRは38.9%と予測されている。
AIサービスのカテゴリーでは、AI ITサービスが2021年の前半に前年比20.4%の成長を示し、世界全体の支出額が184億ドルに達した。この成長率は、2022年には22%に伸び、予測期間の終わりまで同じペースで成長が続く見通という。AIビジネスサービスも成長率の観点で大差はなく、5年間のCAGRは21.9%と見込まれており、2025年には、AIサービスの全体的な支出額が526億ドルに達するとIDCは予測している。
一方、ソフトウェアおよびサービスと比べて、AIハードウェアのカテゴリーはマーケットシェアの観点で最も大きく成長しており、2021年の前半にシェアが0.5%増加した。2022年にはマーケットシェア5%に達し、前年比24.9%の成長が予測されている。AIストレージは2021年前半、AIサーバよりも成長したが、2022年にはこの傾向は逆転する見通しという。AIストレージの成長率19.7%に対し、AIサーバは26.1%の成長が予測され、支出額に占めるシェアの観点では、AIサーバが80%以上の圧倒的なシェアとなっている。
「さまざまなAI市場セグメントにおける支出額全体から見ると、AIハードウェアの割合は小さいものに過ぎない」と、米国IDC Performance Intensive Computing リサーチバイスプレジデントのPeter Rutten氏は述べている。