米オラクルは3月15日(現地時間)、同社が提供しているIaaS「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」に新サービスや新機能を追加したことを発表した。新しいサービスと機能により、アプリケーションの要件に合わせてリソースを自動的に最適化しコストを削減するとしている。

コンピュート、ネットワーク、およびストレージなどの11の新しいサービスと機能を追加した。具体的には柔軟なメモリ、サブコアのバースト可能なCPU、プリエンプティブル・インスタンスといった機能で、ワークロードにおける総所有コスト(TCO)を最大限高め、必要な分だけを利用できるよう、コンピュートの増減の調整が可能になった。

単一コンピュート・インスタンスのスケールアップだけでなく、インスタンス追加によるスケールアウトにより、アプリケーションを書き換えることなく、リスクやクラウド移行のコストを削減した形で、弾力性を実現するとのこと。以下の11のサービスと機能が追加された。なお、新しいOCIサービスや機能の提供は、2022年内に予定されている。

1. Container Instances : VMのホスティングの直接管理やKubernetesのオーケストレーションをすることなく、コンテナを利用できる。OCIはセキュアなOSのイメージ、ネットワーク、ストレージでインスタンスを生成する。

2.AMD E4.Dense Compute Instances : 低レイテンシーのストレージを提供するNVMeドライブによるメリットを顧客のワークロードで利用できる。これらのワークロードには、データベース・ワークロード(リレーショナル・データベース、NoSQLデータベースなど)、仮想化された直接接続するストレージ、キャッシュおよびデータ・ウェアハウスが含まれる。

3. Oracle Cloud VMware Solution on AMD: AMDベースの32、64、128コアの新しいコア・オプションを提供。SDDCホストあたりのVM展開密度のオプションを提供し、高CPUや高メモリのユースケースに対応。OCIは、他製品と比較して、1ホストあたり2.5倍以上のメモリとCPUを提供する。

4. Content Delivery Network (CDN) Interconnect: 特定のサードパーティーのCDNプロバイダーを利用して、ダイレクトにピアリング接続を確立することで、OCI Object Storageのアウトバウンド帯域を無料で提供。サードパーティーのCDNであっても、顧客のコストを削減するという。現在、OCIのこの機能は、北米のCloudflare CDN向けに提供されている。

5. Content Delivery Network (CDN) Service: 地理的に分散したネットワークにおいて、エンドユーザーに最も近いロケーションから、デジタル・コンテンツを配信する。API連携やコンソール、UCM課金、そしてOCI Object Storage、コンピュートとCDN間の強固な連携が可能となり、オリジン・サーバからCDNへのエグレス料金を削減することができるという。

6. Flexible Web Application Firewall (WAF) : 一般的なセキュリティ上の弱点を突く攻撃(OWASP トップ10など)からのアプリケーション保護に役立つ、単一のWAFポリシーを定義でき、ロードバランサーまたはエッジで適用可能。

7. Web Application Acceleration (WAA) : ロードバランサーでのWeb HTTPレスポンスのキャッシュと圧縮に対応。

8.Network Visualizer : 構成ベースの接続性チェックを実行し、ネットワーク・パスを、パス内の仮想ネットワーク・エンティティに関する情報とともに可視化できるようになる。これにより、一般的な仮想ネットワークの構成ミスを特定し、修正することが可能になる。

9. vTAP: OCI Networkで帯域外でのパケット・キャプチャやインスペクションができるようになり、パフォーマンスに影響を与えることなく、トラブルシューティングやセキュリティ分析、データ監視を容易に行うことができる。

10. Flexible Block Volumes with Performance-based Auto-tuning: 需要の変化に応じて、ブロック・ストレージ・ボリュームの性能特性を自動的に変更可能。同社独自の機能といい、ピーク時の需要に自動的に対応し、需要が少ない時にストレージ・コストを削減するのに役立つとしている。

11. High Availability ZFS: ZFSファイル・サーバを、OCI Block VolumesをRAWストレージに使用する可用性に優れた自動展開スタックにパッケージ化する。

Oracle Cloud Infrastructureのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるクレイ・マグワイク(Clay Magouyrk)氏は「オープンな標準ベースのKubernetesをサポートするOCI上でクラウドネイティブなアプリケーションを構築でき、AIや高性能コンピューティング(HPC)を利用していれば、クラウド上で高速のコンピュート・クラスタを構築することができる」とコメントしている。