韓Samsungグループで電子部品や半導体基板を手掛けるSamsung Electro-Mechanics(サムスン電機)は、半導体パッケージ材料部門が総額1兆4000億ウォン超(約1400億円)の投資を行い、今後の成長が期待される次世代半導体パッケージング基板「FC-BGA(フリップチップボールグリッドアレイ)」の増産を図る動きを見せている。ベトナムに設置される新工場が2023年後半より稼働を開始する計画とするほか、韓国本社でもサーバ向け新規FC-BGAを開発中で年内にも生産を始めるという。

FC-BGAは、5G、AI、クラウド、自動運転車向けなどの高性能・高機能LSIの実装に必要な高性能パッケージ基板で、半導体チップとパッケージ基板を細いワイヤで接続する従来の方法とは異なり、チップをフェースダウンで接続する必要があるため、進入障壁が高く、イビデンや新光電気など日本勢が先行しているものの、高性能・高機能LSIが続々と登場してきているため供給が間に合わない状態が続いているという。

Samsung Elecro-Mechasnicsの売り上げ構成は、MLCC(積層セラミックスコンデンサ)に代表される電子部品部門が約5割、スマートフォンカメラモジュールに代表される光学通信部門が約3割、半導体パッケージ部門は約2割となっており、中でもパッケージ部門は、2018年まで赤字部門であったものが、直近の2021年第4四半期の売り上げは前年度同期比38%増の4789億ウォンと、成長が続いており、今後、さらなる成長に向けて投資を決定した模様である。同部門では現在、FCCSP(フリップチップ・チップサイズパッケージ)、WBCSP(ウェハボンド・チップサイズパッケージング)、SiP(システム・イン・パッケージ)などの従来タイプの製品に加えて、FC-BGAの製造を行っている。

なお、韓国でのSamsung Electro-Mechanicsの競合であるLG InnotekもFC-BGA生産に4130億ウォン(約400億円)の投資を2022年2月に決めており、韓国内ではこの2社がカメラモジュール分野同様に激しく競争することになる模様である。