Appleが3月9日発表したデスクトップ型PC「Mac Studio」。これに搭載される新たなプロセッサ「M1 Ultra」は、TSMCの5nmプロセスとAppleの先進パッケージング技術「UltraFusion」、台湾の欣興電子のパッケージ基板を用いており、Mac Studioの組み立ては鴻海精密工業が受託していると、台湾の複数のメディアが伝えている。
M1 Ultraは、2021年秋にAppleが発表したM1 Maxのダイを2つ、die-to-dieによる相互接続で構成しており、これによりPC用チップとして最大級となる1140億個のトランジスタを搭載したとする。また、同じダイを2つ搭載しているため、M1 Maxの2倍となる20コアCPUと64コアGPU、最大メモリ容量も128GBまでサポートしている。かつ、メモリ伝送帯域幅は最大800GB/秒に高速化したという。
さらに、M1 Ultraは消費電力の削減により、電力効率が向上しただけではなく、16コアIntel XeonプロセッサおよびRadeon Pro W6900X GPUを搭載したMac Proと比べてCPUの演算性能は90%高速化され、GPUも80%高速だという。業界関係者によると、1個当たりの製造コストは300~350ドル程度で、Intelのプロセッサより低コストだという。
TSMCが発表した財務情報よると、同社の最大顧客(Appleと思われる)向けの2021年の売上高は前年比20.4%増の4054億NTドル(約1兆6600億円)で、売上高全体の26%占めていたという。Appleは現在、TSMCの5nmプロセスの生産能力の多くを抑えておりTSMCの3DICパッケージング「3DFabric」に関しても最大顧客だという。M1からM1 UltraまでのM1ファミリはTSMCの5nmプロセスを採用しており、今後発表されるM2以降は4nm未満の微細プロセスが採用される見込みである。