ヤンマーホールディングスは、3月9日から12日まで東京ビッグサイトで開催中の「2022国際ロボット展」の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のブース内で「ヤンマー大玉トマト収穫ロボット」の試作機を紹介している。

同収穫ロボットは、NEDOの公募事業「革新的ロボット研究開発基盤構築事業」に採択され、開発を行っているものだ。

  • ヤンマー大玉トマト収穫ロボットの試作機

    ヤンマー大玉トマト収穫ロボットの試作機

同社は、果菜類の中でも栽培規模が大きなトマトに目を付け、大玉トマトの自動収穫を行うロボットの開発に取り組んでいる。

大玉トマトは、実が密着してなっている点やデリケートな点でロボットによる収穫が難しいとされてきた。

そこで、ヤンマーはトマトの位置・形状・姿勢を認識するアルゴリズムと、トマトを傷つけずに収穫するハンドを開発することで、従来の課題の解決に取り組んでいる。

トマトの位置・形状・姿勢の認識は2段階で行われ、まず、枝のどこにトマトがなっているのかをカメラによる撮影と機械学習によって検出。位置を認識した後に、トマトに近づき、形状や姿勢を認識する。この認識には機械学習とルールベースを組み合わせたアルゴリズムが用いられるという。

  • ハンドの横に認識用のカメラが設置されている

    ハンドの横に認識用のカメラが設置されている

そして、位置・形状・姿勢の認識結果に基づき、ハンドでトマトを吸い寄せて収穫を行う。

実際にトマトを収穫する様子は、ヤンマーから動画が公開されているので、ぜひご覧いただきたい。

ヤンマーが公開している大玉トマト収穫ロボットの試作機がトマトを収穫する様子

開発担当者によると、このハンドの吸盤部分に強みがあるといい、トマトの凹凸に対応できるよう「トランコーンパッド」という吸盤を独自に開発。

凹凸があっても吸い寄せることができ、吸盤に引き込んだあとは、広い範囲で吸着して、トマトを固定できる形状になっているという。

  • 「トランコーンパッド」

    独自開発した「トランコーンパッド」。先に向かって少しすぼまっている形状が特徴とのことだ。この形状が凹凸があってもフィットする理由の1つだという

収穫したトマトをかごに積む部分については、まだ検討の余地があるといい、今後も農業法人と共同で、同ロボットの試作機について開発や実証を行っていく予定だという。