日本テラデータは3月10日、説明会を開催し、AWS(Amazon Web Services)上に1000ノード以上の単一システムを構築し、1023人のアクティブユーザーがさまざまな分析ワークロードが混在する環境下で数千の同時クエリを実行するテストを実施した結果、システムのダウンタイムや停止などの障害が発生しなかったと発表した。

このテストの結果は、企業がビジネス成果を獲得するために実行したい複雑な分析ワークロードであっても、クラウド上の単一のシステムで大規模に実行できることを示している。

  • 仮想マシン上のハードウェア障害は見られたようだが、システムそのものは停止せずに分析基盤として機能したという

今回のテストは、1000台以上のサーバで構成される分散システム上で数週間にわたって実施された。テスト時には、大規模なデータウェアハウスに実際に求められるようなオペレーショナルインテリジェンスと、DSS(意思決定支援システム)が同時に混在するワークロードとして実行している。

  • テラデータがAWS上で実施したテストの概要

日本テラデータでクラウド・テクノロジー・リードを務める笹間則克氏は「テラデータのR&D部門が有する最高の技術をベースにテストを実施した。さらに、どこまで大規模な構成をクラウド上で安定して実現できるかに挑戦した」と説明した。

  • 日本テラデータ クラウド・テクノロジー・リード 笹間則克氏

テストの結果、単一のシステム上で大規模なワークロードが実行できることが示された。これにより、複数のクラスタにワークロードを分散した場合と比較してデータ移動のコストを最小化できるだけでなく、複数のクラスタを管理する際に生じる重複削除も排除できる。さらに、システムが持つリソースを最大限に有効活用できるようになるため、分析にかかるコストの削減も期待できる。

これらのコストを最小化あるいは最適化することで、よりビジネスに影響の大きなデータ分析業務に注力できるようになる点が、大規模分析環境における単一システムの利点とのことだ。

  • 大規模な分析を単一のシステム上で実現する利点

近年のデジタル化の加速に伴って、世界的に生成されるデータ量は年々増え続けている。IDCの予測によると、2021年から2025年の間に世界全体で生成、収集、複製されるデータの総量は16.5エクサバイトにも上るという。その一方で、実際に活用されているデータ量はその半分以下であり、AI(Artificial Intelligence:人工知能)や機械学習の分析ワークロードに利用されているデータは、さらに限られる。

笹間氏は「データドリブンな意思決定が行われる経済環境においては、新たなビジネス価値の創出や企業の競争力向上のためにデータ分析の需要が高まり、それに伴う分析ワークロードがさらに拡大するだろう」と述べた。

今後もデータ量は継続的に増加することが予想され、AIや機械学習の活用とデータドリブンな意思決定が拡大する中で、拡張性の高いデータ分析基盤に対する需要はますます高まると考えられる。こうした背景を受けて、同社では単一のシステム上での大規模な検証を実施したとのことだ。

  • 将来的に多種多様かつ大規模な分析に対応可能なクラウドプラットフォームが必要になると予想される

テラデータ日本法人の代表取締役社長である高橋倫二氏(編集部注:本来は「はしご高」)は、同社の近況について報告した。同社はグローバルおよび日本国内ともに堅調な成長を続けているという。

「当社をデータウェアハウスのアプライアンス製品を販売しているベンダー企業とお考えの方もいるだろうが、現状ではエンタープライズレベルのアナリティクスを実行できるクラウドデータプラットフォームを提供するクラウドテクノロジー企業だと自負している」と笑顔を見せた。

  • 日本テラデータ 代表取締役社長 高橋倫二氏

日本国内に注目すると、これまでオンプレミス版の同社製品を利用していた顧客も徐々にクラウドへの意向が高まっており、クラウドを利用する新規の顧客が増加しているという。また、これまでは多くの顧客がAWSを使用していたようだが、昨年からはMicrosoft AzureやGoogle Cloudを使用する企業も増えているとのことだ。特に日本リージョンでの運用が増えているという。

同社は製品の納入のみならず、データ活用戦略の立案から分析エコシステムの設計、構築、導入、運用までエンド・ツー・エンドの幅広いサービス提供を担っている。多くの企業でデータ利活用を推進する中で、受注が伸びているのだという。

  • 国内の業績も堅調な成長を遂げているという

さらに同氏は、過去2回にわたり中止となっていた年次イベント「Teradata Universe」が久々に開催されることを発表した。本社のあるサンディエゴで10月に催されるという。「多くの顧客やパートナー企業の参加を楽しみにしている」と同氏は語った。なお、バーチャルでのオンライン参加も予定しているそうだ。