アドフラウド(広告詐欺)対策ツール「Spider AF」を提供するSpider Labs は3月1日、2021年下半期のアドフラウド調査レポートを公開した。同調査は、2021年7月1日~12月31日の期間を対象に、Spider AF導入企業のウェブ広告・アプリ広告の解析を行ったもの。レポートでは、導入企業に最大20%のアドフラウドのリスクがあることなどが明らかにされている。

アドフラウドとは、デジタル広告における広告詐欺・広告不正の総称であり、代表的な例としては、競合企業からの執拗な広告クリックにより広告予算を消化されたり、広告配信面を持っている悪意ある事業者が自社の広告配信面をクリックして不正に広告収入を得たりする手法が挙げられる。アドフラウドが反社会勢力の収入源になっているケースもあり、官民での対策が進められている社会問題の一つだ。

Spider AFでは、インプレッションやクリック、コンバージョン、イベントなどのデータログから広告不正の兆候を分析し、総合的な広告不正スコアを計算する。レポートは、一定のしきい値を越えたスコアをアドフラウドとみなしてまとめられている。

調査レポートによると、2021年7月から12月までの半年間で解析したウェブ広告の6億9600万クリックのうち、約4.4%にあたる3062万クリックがアドフラウドに該当したという。1クリックあたり50円※で計算※すると、およそ15億3120万円規模のアドクラウド被害があったことになる。

ウェブ広告で発生するアドフラウドは、「無効なトラフィック」という成果につながらないインプレッションやクリック、ブランドイメージの毀損、ユーザー画面に広告が明確に表示されないといった問題があり、これらは大手プラットフォームでのキャンペーンの場合にも発生するリスクがあるという。さらにウェブ広告の表示場所について分析したところ、ブランドイメージに反していたり、通常の表示と比較して広告効果が悪かったりといった広告主にとって価値のないウェブサイトに広告が表示されているケースが見られた。

また、レポートでは近年急増しているモバイル広告におけるアドフラウド被害についても言及。ボットやマルウエアによる不正クリックや無効なインストールが増加し、詐欺手口が巧妙化していることのほか、2021年4月から施行されたAppleのIDFA(デバイスID)取得のオプトイン化により、取得できるデータが少なくなったことから、広告効果の測定精度が下がっていることも報告された。

調査レポートでは、このほかにも、計測データから見るウェブ広告の特長や、アドフラウド事例などがまとめられている。同レポートは、Spider Labsの公式サイトから無料でダウンロードできる。

※Spider AF導入企業実績平均より 。