BeeXは3月8日、事業戦略説明会を開催した。説明会で同社代表取締役の広木太氏が、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援につながるクラウドジャーニー、データジャーニー、SAPソリューションでの取り組みを発表した。同社はSAP ERPの周辺システムのデータ利活用を支援する「SAPサラウンドソリューション」に注力するほか、新たにセキュリティソリューションの「マネージド・サービス」を提供する。
元々、国内ではリフト&シフトの案件が多かったものの、既存のアプリケーション構成を変えずにクラウドのメリットや恩恵を得ようとするニーズは根強い。そのため、広木氏は「日本企業のクラウド活用はまだまだこれからだ」としたうえで、既存事業である基幹システムのクラウド移行やマルチクラウド活用の支援、SAP製品への移行/構築コンサルティングについて継続的に取り組む方針を示した。
そのうえで、クラウドジャーニーでは、クラウドネイティブでのアプリケーション開発支援に注力するという。「クラウド活用から一歩進んだDXを実現するうえでは、システムのマイクロサービス化が重要であり、そのためにはアジャイルのプロジェクトで相互にコードレビューし合うといったお客さまとの共創での開発が求められる」と広木氏は述べた。
SAPソリューションにおいて、同社ではSAP製品とその周辺システムのデータ利活用をサポートする「SAPサラウンドソリューション」を成長分野として捉え、今後力を入れるという。
具体的には、SAPのBIツールに加えて、クラウドベンダーツールやサードパーティツールなどからのデータもクラウド上に集積。データの統合、見える化、分析が可能な基盤を構築するという。
データ活用において、同社ではデータ基盤の構築とともに「データドリブンの文化醸成」を重視している。データジャーニーにおいては、今後もその方針を継続する。
「情報システム部門がしっかりとしたデータ基盤を構築しても、現場のニーズが反映されていなければデータ生成、データ利用、どちらのモチベーションも喚起されない。モチベーションのある現場のエンドユーザーを巻き込みながら基盤を構築し、組織内に横展開していく従来のやり方は変えない。遠回りのようでいて、この方法が企業のデータジャーニー成功の近道だと考えている」(広木氏)
マネージドサービスの領域では、これまで同社はAWS、Azure、Google Cloudのライセンスリセールや運用・監視サポートなどのサービスを提供してきた。新たに、2022年3月中には脆弱性の定期診断とSOC(Security Operation Center)のサービスを提供するという。
どちらのサービスも、チェック・ポイントの「Check Point CloudGuard Posture Management」を活用したもので、定期診断サービスでは、米CIS(Center for Internet Security)のベンチマークに基づいて網羅的に診断を行い、設定レビューや修正箇所の通知を行う。SOCサービスは、随時監視を行ってインシデントを発見したら自動的アラートを出し、月次レポートや問い合わせに対応する内容となる。
従来、基幹システムは企業内に閉じたものだったが、クラウド活用で徐々にオープンになってきている。DXが進むほど外部とのデータのやりとりも増えていく。広木氏はそうした現状を踏まえ、「エンドポイントやWAF(Webアプリケーションファイアーウォール)、人的なセキュリティインシデント向けのサービスなども第2弾として提供する予定だ。その後もゼロトラストネットワークにもサービスを拡げていきたい」と語った。