ルネサス エレクトロニクスは、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転(AD)システムのメインプロセッシング用SoC「R-Car V4H」を3月8日に発売した。

R-Car V4Hは、ADAS/ADアプリケーション向け汎用演算処理用に、1.8GHz動作の「Arm Cortex-A76」コアを4個(合計49k DMIPS)の搭載や、ディープラーニングやコンピュータビジョン向けの各種専用IPも搭載しており、最大34TOPS(Tera Operations Per Second)のディープラーニング性能を実現し、車載カメラやレーダ、LiDARによる周囲の高速な画像処理や物体認識が可能だという。

同製品は、最もボリュームの大きい普及価格帯の車両に自動運転レベル2+およびレベル3を搭載できるよう、性能と消費電力のバランスを重視した上で最適なIPを組み合わせ、業界トップレベルの電力性能比を実現しているという。また、自動車向け機能安全規格「ISO 26262」への対応のため、安全に関連するすべてのIPのシステマティック故障への対策として、ASIL Dに対応可能なSoCの開発プロセスを適用予定で、信号処理部にASIL B、リアルタイム処理部にASIL Dのメトリクスを達成見込みだとしている。

さらに、R-Car V4H 専用の電源ソリューションとして、プリレギュレータ「RAA271041」および最大11チャネルを出力するPMIC「RAA271005」を中心としたソリューションを提供し、これにより車両バッテリの12V電源からR-Car V4Hや周辺メモリに信頼性の高い電源を供給することができるいう。

これらの安全機能のサポートや電源ソリューションによって、低いBOMコストでシステマティック(決定論的)およびランダム(偶発的)ハードウェア故障に対するASIL Dへの対応を支援しながら、設計の複雑さを軽減し、市場投入までの時間とコストを削減できるとのことだ。

ドライバモニタリングや緊急自動ブレーキなど「EuroNCAP 2025」のフル機能にも対応可能で、3Dサラウンドビューや自動駐車機能も実現可能という。

なお、R-Car V4Hは、即日サンプル出荷を開始し、量産は2024年第2四半期から予定、あわせて開発環境としてR-Car V4H用ソフトウェア開発キット(SDK)も提供される予定だ。