デロイト トーマツ ミック経済研究所は3月8日、「HRTechクラウド市場の実態と展望 2021年度版」を発刊したと発表した。これによると、2021年度のHRTechクラウド市場は2020年度と比べて30.2%増の578億円であり、2026年度まで年平均成長率31.5%で成長を続け、2270億円に拡大するという。
同社が定義するHRTechクラウドとは、クラウドをベースにソーシャルやモバイル、ビッグデータ解析、人工知能(AI)など最先端のITを使った人事関連ソリューションを指す。
2021年度の同市場は、2020年に見られた新規案件の減少や商談の長期化を乗り越え、波状的に起こるコロナ禍に対して電子化を含めテレワークや非対面の業務推進を支援するストックビジネスの強みを発揮し、拡大が続いているという。Withコロナとなる2022年度の同市場は、2021年度と比べて32.2%増の764億円となる見込みだ。
オリンピック以降の同市場は、テレワークや就業の多様性を反映し、労働人口減少の中、採用で人材確保・活用・育成などの人事政策がさらに重要度を増している。2024年度には、2025年の大阪万博を控えて上昇傾向を見せ、さらにリニア新幹線開業が目前となる2026年度には2270億円になると、同社は予測する。
2021年度の同市場における分野別動向を見ると、まず採用管理クラウドでは、オンライン型面接の定着と友好求人倍率の上昇を受け、好調業種の新規案件獲得への動きがあるという。人事・配置クラウドでは、テレワークの常態化で可視化・分析による業務評価と適材配置ニーズがさらに拡大するとのこと。
労務管理クラウドでは、電子申請の義務化を追い風に、大手向け機能強化で上位層へ急速に浸透し、また、育成・定着クラウドでは、withコロナで再注目を浴び、モチベーション・エンゲージメント向上ニーズにドライブすると同社は見ている。