MM総研(MMRI)は3月4日、「中小企業のデジタル化に関する調査」の結果を発表した。これによると、日本の労働生産性向上にはクラウド利用の拡大などを通じた中小企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進が重要であり、中小企業のクラウド利用は拡大しているが、さらなる利用に向けDX推進のためのIT環境の改善が望まれるという。
同調査は同社が2021年12月にWebアンケートおよび文献等調査により実施したものであり、調査対象は全国の中小企業993社、中堅企業304社、大企業703社の計2000社。中小企業のクラウド利用状況を見ると、拡大はしているものの大企業や中堅企業と比較すると利用率は低く、さらなる利用拡大が望まれるという。
現在クラウドを利用していないが今後利用を予定または検討している中小企業の主な懸念事項は、コストやセキュリティとなっている。クラウドのメリットを正しく理解できていない可能性があるため、クラウド運用に適したIT環境の整備が必要だと同社は考えている。
中小企業のDX推進に向けたIT環境整備における課題として同社は、まず費用対効果の高いIT環境を挙げる。
中小企業のIT装備率は大企業と比較して低く、限られた原資の中でDXに適する費用対効果の高いIT環境を実現する必要があるという。また、中小企業がクラウドに接続する主要なIT端末であるPCについても、費用対効果の高い利用に取り組める余地があると同社は見る。
続いて同社は、専門のIT要員を必要としないIT管理負荷の軽減を挙げる。中小企業はIT人材の確保が難しく、今後さらに困難になると予測されるため、専門的な人材を必要とするIT管理の負荷の低減が重要だという。DXに最適な環境では、IT業務の負荷低減が実現でき、IT人材不足を解消できるとしている。
2023年10月に開始を控えるインボイス制度に関して、中小企業では認知・対応とも遅れており、生産性向上の観点と併せ、クラウドの利用拡大やIT環境の課題克服に留意しながら国を挙げた支援が望まれると同社は提言する。