市場調査会社のTrendForceによると、2021年の新エネルギー車(NEV:電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車など)の総販売台数は前年比122%増の647万台に達したという。電気自動車(EV/BEV)が市場の約72%を占め、プラグインハイブリッド車(PHEV)が約28%を占め、燃料電池車(FCV)はほぼシェアがない状態となっているという。
EVの販売台数トップブランドはTesla
EVの販売台数トップはTeslaで、市場シェアは20.2%、販売台数は約93万台だという。2位は中SAIC-GM-Wuling(上汽通用五菱汽車。ゼネラルモーターズ、上海汽車、五菱集団の合弁)で、2021年に投入した低価格の小型EVがけん引役となった模様である。OraやCheryなどといった新興の中国EVブランドも、小型車を武器に販売台数を伸ばしており、Oraは5位に、Cherryは9位に入ってきており、NEVにおける小型EVセグメントに注目が集まっていることを示す結果となっている。
また、EVブランド上位10社の合計市場シェアは、2020年の64.4%から2022年には57%に低下すると見られており、市場競争の激化が進むと見られるという。
一方のPHEV市場の販売台数トップは中BYDで、2021年には前年比倍増となる27万3000台を販売、市場の15%を占めたという。同じ中国勢の7位のLiAuto(理想汽車)も、前年比で販売台数を倍増させている。
世界のNEV販売台数の半分を占める中国市場
国・地域別に見ると、2021年の中国のNEV販売台数は全世界のおよそ半分を占め、中国の新車販売台数に占めるNEVの割合は19.3%となったという。TrendForceによると、中国市場は、激しい競争に加えて、多数の新ブランド、大量生産の拡大、合弁ブランドの調整戦略、ヨーロッパ、中東、東南アジアをターゲットとした国内ブランドの海外展開なども生じているという。
また、2022年については、EUがEVの普及を推進していることを受け、ドイツやフランスなどのEU主要国でのNEV普及率は、20〜25%に達すると見込まれるとする。さらに、出遅れている米国市場も、バイデン政権による複数のインセンティブが、多くの自動車メーカーによる北米市場で人気の高いEV電動ピックアップの販売促進を含む、ブランドとサプライチェーン活動を焦点としているほか、Rivian、Lucid Motors、Fisker、およびLordstown Motorsなどの多新の新規ブランドが、NEV製造に次々と参入する、もしくは量産を開始する予定としていることもあり、高い将来性が期待されるとしている。
なお、TrendForceでは、2022年のNEVの販売台数について、世界的な環境配慮に向けたトレンドを受け、自動車メーカーの多くがEVにラインナップをシフトさせていることもあり、1000万台を超すと予測している。しかし、国際情勢が混乱しており、特にロシアとウクライナの紛争により、EV用バッテリーの材料の1つであるニッケルの主な産出国がロシアであることから、サプライチェーンが不安定化し、NEVの製造コスト上昇などが生じる可能性があるとしている。