onsemiは2月28日(米国時間)、利益の拡大を通じて持続可能な財務実績を達成することを目指したファブライト戦略の加速に向け、米国メイン州サウスポータランドの半導体製造工場(ファブ)の売却契約を済ませたこと、ならびにベルギー・アウデナールデの半導体製造工場の売却を完了したことを発表した。
米国メイン州のファブをDiodesに売却
onsemiの米メイン州のファブは、同社が2016年にFairchild Semiconductorを買収した際に入手したもので、買収後は8インチ(200mm)ウェハを用いて0.18~1.5μmアナログCMOS、BCDMOS、バイポーラデバイスなどを製造してきた。今回、レガシー工場整理の一環として売却することを決め、米テキサス州を本拠とするダイオード、ディスククリートMOSFET、アナログICなどの半導体メーカー米Diodes Incorporatedと製造施設と事業の売却について最終契約を締結したとしている。
この取引は、2022年第2四半期に完了する予定で、Diodesはアナログ製品の成長に伴い、200mmウェハファブでの生産能力を拡大する予定だという。
ベルギーのファブはBelGaNに売却
一方のベルギーのアウデナールデにあるレガシーファブは、同地の投資家と経営者によって構成されるコンソーシアムBelGaN Groupに売却する取引が完了したという。
同ファブは、2008年に米AMIから買収した6インチ(150mm)ファブで、0.35~2μmアナログCMOSやBCDMOSを製造してきたが2020年初頭に売却を決定し、買い手を探していた。BelGaNは、ベルギーにおける6インチおよび8インチGaNファウンドリのリーディング企業となることを計画している。
新潟のファブも売却を予定、今後は300mmでの製造に注力
onsemiは、レガシーファブでの生産をより効率的なファブに移管し、レガシーファブを減らすことで固定費を削減し、製造原価を下げることによるコスト構造の改善を目指しており、新潟工場(元三洋電機の半導体部門の前工程工場、小千谷市)についても2020年8月に売却計画を公表している。
経済産業省の助成によりM&A助言会社の産業創成アドバイザリーが2021年4月に設立したジャパンスペシャリティファンダリ(東京都中央区)が同工場の買収に向けて交渉しているとのうわさが2021年の夏ごろに出たものの、2022年3月3日時点のonsemiのWebサイトには自社工場としていまだに記載されている。なお、ジャパンスペシャルティファンダリは、国内のパワー半導体各社から資金を募って新潟工場でファウンドリビジネスを行う準備をしているとも言われている。
なお、onsemiは2019年、米国ニューヨーク州にあるGlobalFoundries(GF)の12インチ(300mm)ファブ(元IBMイーストフィシュキル工場の一部)を買収しており、同工場を活用したパワー半導体製造の大口径化による量産を目指している。現在、同工場はGFの管理下でonsemi向けの生産を行う形をとっているが、2022年末までに完全にonsemiに移管される予定となっている。