ベルギーの独立系半導体研究機関であるimecは、設立母体であるベルギーのル―ベンカトリック大学(KUL)、フレキシブルエレクトロニクスを得意とする英PragmatIC Semiconductorと共同で、0.8μm金属酸化物フレキシブルテクノロジーを用いてリアルタイムで複雑なアセンブリコードを実行できる高速8ビットマイクロプロセッサの開発に成功し、2月20日から24日にかけて開催された半導体の国際学会「国際固体素子回路会議(ISSCC 2022:International Solid-State Circuits Conference 2022)」にて発表した。
このマイクロプロセッサは、金属酸化物薄膜技術用の新しい標準セルライブラリの作成を可能にする独自のデジタル設計フローで作製されたもので、imecのファウンドリパートナーであるPragmatICによる薄膜技術を活用し、約1万6000個の金属酸化物薄膜トランジスタを24.9mm2のフレキシブルチップに集積したという。
低コスト、薄型、フレキシブルなデバイスを必要とするアプリケーションに向け、薄膜トランジスタ技術に基づくフレキシブルエレクトロニクスの実用化が求められている。すでに当該技術は、ヘルスパッチセンサやRFIDラベルなどに活用されているほか、FPDのドライバとしても活用されている。しかし、より複雑な信号処理の演算実行に向けたフレキシブルなマイクロプロセッサの作製は困難であったという。
フレキシブルな高速マイクロプロセッサの製造にあたっては今回、PragmatICのユニークなFlexIC Foundryサービスを利用し、imecが設計した、0.8μmのIGZOトランジスタ技術をベースにフレキシブルな8ビットマイクロプロセッサが製造され、実際に複雑な演算を処理することに成功したとする。
なお、imecのプリンシパルサイエンティストであるKris Myny氏は、「フレキシブルな24.9mm2チップにゲート長0.8μmのトランジスタを約1万6000個ほど集積することに成功した。ISSCC 2022では、人気のあるSnakeゲームの複雑なアセンブリコードを実行することで、回路がリアルタイムで正しく動作することを実演できた」と述べている。