STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは、電気自動車(EV)および集中型ドメイン/ゾーン・アーキテクチャに最適な車載用マイコン「Stellar Eシリーズ」を発表した。
多くのEVが、SiCベースのパワーモジュールを採用することで電力効率を向上させているが、SiCパワー半導体の制御には、専用のDSPが必要であり、コスト高の原因となっていた。同シリーズは、同社のArm Cortexベースの車載マイコン「Stellarシリーズ」を拡充することを目的に開発されたもの。ソフトウェア定義型の次世代EV向けに設計されており、高速制御ループ処理機能を内蔵することで、同製品単体でモジュール全体を制御でき、これにより、 SiCベースの高効率パワー・モジュールへの移行を簡略化することが可能になるという。
また、 高速A/Dコンバータ、 高精度パルス幅変調(PWM)コントローラ、 高速で作動する保護回路なども搭載しており、 複数のパワー・コンバータを制御することができるほか、自動車用機能安全規格(ISO 26262)の安全性レベルASIL-D、 セキュリティ規格(HSM)、業界標準ソフトウェアとの相互運用性(Autosar 4.3.x)など、 主要な車載規格に対応し、OTAによるセキュアなソフトウェア・アップデートも可能だという。
なお、Stellar Eシリーズの第一弾製品「Stellar SR5E1」は、 EVのオンボード・チャージャ(OBC)や一般的なDC-DCコンバータに向けたもので、すでにサンプル出荷を開始しており、2023年に量産開始が予定されているという。