日立グループで発電所や交通設備といった社会インフラ設備の建設を担う日立プラントコンストラクションは、中部電力と共同で、表面に汚染部位を有する放射性廃棄物から、汚染された表面部分を分離する切削分離工法と分離装置を開発したことを2月28日に発表した。
日本では現在、18基の実用発電用原子炉が廃止措置計画認可を受けて廃止措置中で、廃止措置に伴って発生する解体廃棄物のうち、約2%が低レベル放射性廃棄物として発生する。 これらの低レベル放射性廃棄物のうち表面のみが汚染された金属部材については、表面の汚染を分離できれば、放射性廃棄物の量を減らすことができるが、従来の一般的な工法では、削り取った後の部材を工具や切削屑で再汚染させてしまうという課題があったという。
これらの課題に対応するため、同工法では切削刃の汚染部位が、切削完了面に触れないように、対象物の汚染された表面部位を刃の側面で切削する方法を選定し、切削方向の調整や、保護カバーの取り付け、圧縮空気の吹き付けにより、切削屑の切削完了面への接触を防止したことで対象物を再汚染させることなく分離することを可能としたとのことだ。
なお、両社は同工法に関する特許を出願中で、すでに同工法を用いて中部電力浜岡原子力発電所にて鋼板の汚染部位分離の作業を開始しており、今後増加が予想される原子力発電所の解体案件に同分離装置を活用していくとしている。