2019年の世界のプラスチックごみ(プラごみ)の発生量は3億5300万トンに達した、などとする報告書を経済協力開発機構(OECD)がまとめ、22日発表した。適切に処理されなかった大量のプラごみが河川や海にたまっていると指摘し、「プラごみによる海洋汚染は長い間続く」と警告している。28日からケニア・ナイロビで開かれる国連環境総会(UNEA)で、対策の国際ルール策定に向けた議論が行われる。
報告書は各国の科学者の協力を得て作成された。19年の世界のプラごみの発生量は3億5300万トンで、2000年の1億5600万トンの2倍以上に増加した。19年のプラスチックの生産量は4億6000万トンで、00年と比べやはり2倍以上。プラごみの増加は生産量の増加をそのまま反映した形だ。
発生量が減らない最大の要因は一向に改善されないリサイクル率の低さで、19年はプラごみ全体の9%にとどまった。プラごみの中で焼却処分されたのは19%、適切に埋め立てられたのは50%で、22%は野外で燃やされたり、環境中に流出したりした。
河川や海など、水環境への流出は610万トン。このうち、海への流出は170万トンだった。これまでに河川には1億900万トン、海には3000万トンが堆積している。このため、海洋への流出は今後、数十年という長い間続くと警告している。
プラごみの約半分はOECD加盟国で発生し、1人当たりの量は米国が221キロ、欧州のOECD加盟国平均は114キロ、日本と韓国の平均は69キロだった。報告書は「プラスチックによる汚染はプラごみの不適切な収集と処分に起因する」と断じ、微小なマイクロプラスチックの環境への流出の問題は深刻と指摘した。
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大にも言及。2020年は経済活動が鈍化したため、プラスチックの使用量はわずかに減少したが、食品の持ち帰り用パッケージ、マスクなどのプラスチック医療機器の増加によるプラごみが増えたとしている。
報告書は「プラスチック汚染を減らすためには、生産そのものを減らす行動のほか、環境に優しい代替品の開発やプラごみ管理の改善とリサイクル率の向上が必要」とし、国際協力の重要性を指摘している。
日本の環境省関係者によると、UNEAでは3月2日までの会期中、深刻化する海洋のプラごみ汚染対策が重要テーマとなる。対策の国際ルールづくりについて、初めて本格的に議論される見通しという。
海洋プラごみ対策は世界的な課題だ。特に、紫外線や波の力で5ミリ以下に砕けたマイクロプラスチックは魚介類に取り込まれ、食物連鎖を通じて人体への影響も懸念されている。このまま海への流出が続くと、その総量は2050年には魚の総量を超えるとの予測もある。
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