コニカミノルタは2月24日、オンラインで社長交代に関する記者説明会を実施した。説明会にはコニカミノルタ 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの山名昌衛氏と同 取締役 専務執行役の大幸利允氏が出席した。
同社は中期経営計画「DX2022」において、2025年度までの2つの事業ポートフォリオ転換の完遂を目指し、オフィス事業の顧客基盤を活かしたデジタルワークプレイス事業への転換、同社の強みである画像IoTを軸とした「計測・検査・診断」領域の成長拡大による高収益なビジネスモデルへの転換を加速している。
2020年の新型コロナウイルス感染症拡大以降、人々の価値観や行動変容が進むとともに、同社を取り巻く事業環境は大きく変化している。
同社の中核事業であるオフィス、プロダクションプリント事業の早期立て直しと、利益創出をけん引するインダストリー事業、ヘルスケア事業、産業印刷事業の強化は喫緊の経営課題であり、中期的な事業ポートフォリオ転換の完遂および短期的な課題の解決を同時に進めるためにも「実行力の強化と加速」が必要だという。
2022年度は中期経営計画「DX2022」の最終年度にあたるとともに、次期経営計画の策定年度となる。今回のタイミングで代表執行役社長を交代し、新代表執行役自らが中期経営計画を策定、グループ4万人の人材をリードして実行力を最大化することが、企業価値を高めるうえで適切であると判断した。
そのため、4月1日付で大幸氏が同社 取締役 代表執行役社長 兼 CEOに、山名氏は取締役 執行役会長にそれぞれ就任する。
大幸氏は1962年11月30日生まれの60歳で、1986年にミノルタカメラに入社。統合後は米国子会社などを経て、2015年に執行役に就任、その後は2018年6月に取締役 兼 常務執行役 情報機器事業管掌 兼 オフィス事業本部長、2020年4月に取締役 兼 専務執行役 情報機器事業管掌 兼 経営企画、IR、広報、DXブランド担当を担当し、2022年1月からは取締役 兼 専務執行役 情報機器管掌 兼 経営企画担当を務めている。
山名氏は「私が社長の8年間を一言で言えば、“事業の変革”に集約される。就任前を含めれば、3つの大きな転換点があり、2006年の祖業フイルム、カメラ事業からの撤退、2008年~2011年におけるリーマンショックとその後のプリント環境の変化、そして2020年からの新型コロナウイルスの拡大と人々の行動変容が挙げられる」と述べた。
こうした転換点をバネに同氏は「優れた成長戦略」「実行力がすべて」「強靭な企業体質」の3つの軸で変革を目指し、経営に取り組んできた。山名氏は「企業の経営には持続的な企業価値の向上が重要であり、これを支えるためにはサステナビリティ経営とスマートワーク経営がキーとなり、取り組みを進めてきた」と話す。
新しいリーダーの要件として同氏は「グローバルコミュニケーション力、さまざまな個の輝きを引き出すエンパワーメント力、やり遂げる強固な意志と能力が必要だ」と力を込める。
一方、新社長に就任する大幸氏は「2025年度までにオフィス事業からデジタルワークプレイス事業への転換と、計測・検査・診断領域の成長拡大による高収益なビジネスモデルへの転換を2025年までに完遂すること目指すとともに、2030年に向けた方向性を具体的に示し、持続的な成長と社会貢献に対する将来の道を示していきたい」と強調した。
そして、同氏は「成長加速を実現するうえでは、現在展開している事業の見直し・縮小など厳しい判断が求められることもあるが、正面から取り組み、利益拡大と同時に投資効率の向上に努めていきたい。現場がお客さまの課題を認識しているため、就任後も現場とステークホルダーとの対話を通じて事業転換を推進するスタンスを徹底していく。また、どのような局面においても、あきらめず、粘り強い自分なりの持ち味を活かしていきたいと考えている」と抱負を述べていた。
今後、4月1日からは大幸氏を執行役員に31歳の若手抜擢(3月2日公表予定)を含めた経営チームと山名氏が支えていく。山名氏は執行役会長として、新規事業強化、戦略的アライアンス・M&A、渉外活動などを担当しながら新社長をサポートするが、同社の執行に関わるすべての責任と権限は代表執行役社長である大幸氏が有する。