BeeX(ビーエックス)は2月24日、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場を発表した。テラスカイ子会社である同社は、SAPのERP(企業資源計画)ソリューションの導入支援や企業の基幹システムのクラウド移行、パブリッククラウド(AWS、Azure、Google Cloud Platform)利用のコンサルティングなどの事業を展開している。

BeeX 代表取締役社長 広木 太氏

同日に開催された記者会見で、代表取締役社長の広木太氏は、「当社の特徴はクラウド専業である点だ。日々アップデートされる新機能をいち早くキャッチアップし、パブリッククラウドを最適に活用するためのサービスと知見を提供している。特に強みを持つのがSAPだが、SAPを含めた他のパブリッククラウドを組み合わせて、マルチクラウドでの製品導入、運用、保守のソリューションを提供できるのが強みだ」と説明した。

2016年3月1日に設立し、現在6期目にあるBeeXだが、創業以来、5期連続増収、増加傾向にある。直近(2022年2月期第3四半期)は増収・増益の見通しだ。

サービス別の売上高では、ストック型ビジネスの「クラウドライセンスリセール」「マネージドサービスプロバイダー」が約6割を占めている。今後はストックビジネスの比率を上げて経営の安定化を図りつつ、コンサルティングや環境移行などフロー型ビジネスの「クラウドインテグレーション」事業も拡大していくという。

  • BeeXの業績の推移(※1 2019年3月 テラスカイAWS事業部統合)、出所:記者会見の資料より抜粋

「当社の売上の半分以上は顧客との直接取引となる。また、顧客層も中堅以上の大企業が中心となり、そうした企業とリレーションを構築できている。安定して収益をあげられるビジネス基盤があることで、当社はシステムインテグレーションやDX(デジタルトランスフォーメーション)のためのシステム構築といった新たなチャレンジも行える」と広木氏は語った。

今後の成長戦略としては、基幹システムのクラウド移行支援をはじめとした既存のビジネスを拡大しつつ、企業のDX支援のプラットフォーム構築の取り組みを推進する。DX領域では、データ分析基盤の構築やクラウドネイティブなアプリケーションの開発実績をベースに人材採用も含めた体制強化を図るという。

BeeX 取締役副社長 兼 ビジネス開発推進本部 本部長 田代裕樹氏

取締役副社長 兼 ビジネス開発推進本部 本部長の田代裕樹氏は、ローカルパートナーとの協業拡大についても触れた。現状、BeeXの収益は大手企業に依存しているとも言え、中堅・中小企業への顧客層の拡大が課題となる。

「例えば、データセンターを自社で保有し、地場企業のオンプレミスでのサーバー構築やシステム構築などを行っている地場のSIerのクラウド化を当社が支援する。そうした企業をローカルパートナーとして、当社とともに地場企業のクラウド化も推進していく、といったスキームを構想している。今期から着手し始めているが、来期以降に本格的に展開する予定だ」と明かした。

加えて、パブリッククラウド利用と多様なデータを扱うDXをサポートするセキュリティソリューションの提供を開始する。すでに提供しているマルチクラウド管理サービス「BeeXPlus」をベースに、コンプライアンス&ガバナンス対策、WAF(Webアプリケーションファイアーウォール)、脆弱性診断などのサードパーティソリューションを運用サービスとして提供していく予定だ。

  • BeeXの成長戦略、出所:記者会見の資料より抜粋

「DXを進めると、外部とのデータのやり取りも発生し、今まで以上にセキュリティリスクが高まる。いち早く問題を発見し、自動的に修復できるようなセキュリティソリューションを提供することで、ストックビジネスの後押しへとつなげたい」(広木氏)